埼玉SO松田が復活トライ「本当に幸せ」前十字靱帯断裂から驚異の7カ月で復帰 ラグビーリーグワン

[ 2022年12月17日 18:39 ]

ラグビーリーグワン第1節   埼玉22―19BL東京 ( 2022年12月17日    埼玉・熊谷ラグビー場 )

後半、抜け出して独走した松田(左)がトライを決める(撮影・篠原岳夫)
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 リーグ創設2シーズン目が開幕し、初代王者の埼玉は昨季4位のBL東京を22―19で下し、2連覇へ白星発進を決めた。5月の試合中に左膝の前十字靱帯(じんたい)断裂の大ケガを負ったSO松田力也は、約7カ月ぶりの公式戦で先発。一時逆転のトライを挙げるなど、復活をアピールした。

 一般的に復帰までに丸1年を要する大ケガから、わずか224日で戻ってきた。大事な開幕戦で10番を付けた松田は、感謝の思いを胸に後半22分までプレー。4点を追う後半15分には、約40メートルを自ら走りきる見事なトライを挙げた。

 「帰ってこられて、率直にうれしい気持ち。このグラウンドでラグビーができることは、本当に幸せだと思った」

 昨シーズンのレギュラーシーズン最終節だった5月7日の東京ベイ戦の前半3分、味わったことのない感覚が左膝を襲った。診断結果は左膝前十字靱帯(じんたい)の断裂。チームの決勝トーナメントはおろか、正司令塔の地位を確立しつつあった日本代表の活動も棒に振る大ケガだった。

 「逆算して、開幕に間に合わせたいと思っていた。誰も間に合うと思っていなかったと思うが、佐藤さんは“絶対に大丈夫”だと言ってくれた」

 手術を経て、頼ったのは堀江翔太ら多くのチームメートや日本代表の選手のトレーナーを務める“ゴッドハンド”こと佐藤義人氏。独自のメソッドで数々の奇跡的な復活を下支えしてきた同氏と二人三脚でリハビリに取り組み、驚異的な回復で12月3日にはプレシーズンマッチで実戦復帰。10番をつかんだ開幕戦はキックを2本外すなどして「50点」と自己採点は厳しかったが、「佐藤さんのおかげ。ただ信じてやるしかなかった。信じたものを貫き通した」と感謝した。

 一時同点とするトライシーンは「みんながつないでくれて、トライを取っただけ」と素っ気ないが、ディフェンスのギャップを突く瞬発力とスピード、抜け出してからの鮮やかなスワーブと、ケガ前よりも「(進化したと)思った」と手応えをにじませる。王者埼玉の、そして来年にW杯を控える日本代表の正司令塔が、スケールアップしてスタジアムに帰ってきた。

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