陸上男子100メートル、坂井隆一郎が10秒02で世界選手権切符 今季日本人最速、日本歴代7位タイ

[ 2022年6月27日 05:10 ]

陸上・布勢スプリント最終日 ( 2022年6月26日    鳥取市・ヤマタスポーツパーク陸上競技場 )

男子100メートル予選で10秒02をマークした坂井
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 男子100メートル予選で坂井隆一郎(24=大阪ガス)が10秒02をマークした。追い風1・1メートルの好条件で自己記録を0秒08更新。今季日本人最速で、朝原宣治に並ぶ日本歴代7位タイとなる好タイムを出し、7月の世界選手権(米オレゴン州)の参加標準記録(10秒05)を突破して代表入りを決めた。決勝は棄権。デーデー・ブルーノ(22=セイコー)が10秒20で優勝した。

 抜群の飛び出しから一気に駆け抜けた。予選5組で7レーンに入った坂井が得意のスタートを決めると、そのまま加速してゴールする。表示されたタイムは「10秒02」。昨年、山縣亮太が日本記録を樹立した舞台で日本歴代7位タイの記録をマークし、ガッツポーズを繰り返して全身で喜びを表した。

 「布勢はタイムが出るし、良い風が吹くと知っていたので。“追い風参考にならないでくれ”と願っていたので、公認記録になって良かった」

 今月10日の日本選手権は10秒10をマークしてサニブラウンに次ぐ2位。東京五輪出場の小池、桐生らを上回った結果が実力であることを改めて示し、初の世界切符を手にした。

 まだ陸上をしていなかった小学5年の頃、08年北京五輪の男子100メートル決勝でウサイン・ボルトが当時の世界記録を更新する走りに衝撃を受けた。中学1年から競技を始め、現在は大阪ガス所属。家庭用営業の人事総務で働きながらスプリントを極めようとしている。近年はケガにも泣かされてきたが、大阪ガスの小坂田淳監督が「こちらが驚くほど」という練習量で力をつけ、一気に台頭。冬場はウエートトレに力を注ぎ、筋肉だけで3キロの増量に成功した。

 「“やっとここまで来られた”という感じです。自分の走りがどこまで通用するのか。世界選手権では9秒台を出して、多くのレースを走りたい」

 歴代記録で並んだ朝原宣治氏は大阪ガスの先輩で、日頃からLINEなどで激励を受けている24歳。ピッチ走法を生かしたスタートダッシュが最大の武器だけに、400メートルリレーのメンバーに選ばれれば1走として期待されそうだ。

 ◇坂井 隆一郎(さかい・りゅういちろう)1998年(平10)3月14日生まれ、大阪府豊中市出身の24歳。中学1年から陸上を始め、大阪高から関大に進み、19年に日本学生個人選手権男子100メートルで優勝。20年に大阪ガス入社。実家から通勤し、午前9時から正午過ぎまで仕事をこなしてから練習に励む。1メートル71、64キロ。

 ≪サニブラウンと約8歩差≫6月10日に行われた日本選手権決勝の分析数値によると、坂井の高速ピッチ型が浮かび上がる。当時の自己ベスト10秒10を出したレースは1秒あたり5.42歩のピッチで刻み、100メートルの総数は52.2歩だった。対照的に、10秒08で優勝したストライド型のサニブラウンは1秒あたり4.65歩で総数44.3歩。0秒02差の両者に約8歩の差がある。最大走速度のストライドは坂井は2メートル09に対し、サニブラウンは2メートル48となっている。

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