東大生力士・須山が“初白星” ど緊張の前相撲 「東大関」へ「始まったなという気持ち」

[ 2022年5月11日 05:00 ]

大相撲夏場所3日目 ( 2022年5月10日    東京・両国国技館 )

前相撲で山田海(手前)を破った須山(撮影・西海健太郎)
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 新弟子らによる前相撲が始まり、初の東大生力士となった須山(24=木瀬部屋)が初土俵で“プロ1勝”を挙げた。幕内では平幕・琴ノ若が御嶽海を破り、初日から3日連続の大関撃破。正代と貴景勝も敗れ、3大関総崩れの波乱となった。

 名前を呼ばれた須山は、タイミングが分からず、行司に促されて土俵に上がった。プロ初の一番。相撲経験のない16歳を一気に寄り倒して完勝したが、取組前には緊張した様子も見られた。大相撲の歴史に新たな一ページが刻まれたこの日、「始まったなという気持ち」と力士人生のスタートに実感を込めた。

 部屋での生活を始めて1カ月、「毎日稽古するのが大変」とまだ初々しい。それでも大学の試合で強豪校の選手を破ってきた実力は確かで、稽古では三段目力士を相手にまわしを引けば互角に渡り合うという。

 現役東大生として現在は週1回、浴衣を着てげたを履き、大学へ通う。その風貌に、関係者以外入ることのできない学食では「学内の方ですか?」と聞かれることもあったという。多くの学友から声をかけられるかと思いきや「留年しているから知り合いいないです」と笑った。

 師匠の木瀬親方(元幕内・肥後ノ海)は「他の力士の刺激にもなる」と異色の新弟子を歓迎する。東大相撲部OB会長で日本相撲協会顧問を務める櫟原(ひらはら)利明氏は「相撲エリートだけじゃなく、東大生も相撲をやれるんだと、多様性の象徴になる」と分析した。学歴の関係ない世界に飛び込んだ須山の挑戦は、相撲界に新たな風を吹き込むことになる。

 ≪須山に聞く≫
 ――髪はいつ切った?
 「10日ぐらい前。長さがそろっている方がまげを結いやすいと言われたので」

 ――反響の大きさを感じたことは?
 「新弟子検査の日、LINEニュースに出てきた時ですね」

 ――両親からは何か言われた?
 「ケガしないで頑張ってくれと。あと卒業はしてくれと言われました」

 ――番付の目標は?
 「東大なので、東大関で。頑張りたいです」

 ――前期の授業は3コマ?
 「えーと、リモートが2個で、学校に1個」

 ――(通っているのは)ゼミですか?
 「はい。ゼミです」

 ▽前相撲 新弟子検査に合格した力士と、ケガなどで番付外となり序ノ口復帰を目指す力士らが出場する。成績は公式の通算記録には加算されず、翌場所の番付編成の参考となる。新弟子の多い春場所は2日目、それ以外は3日目から始まり、3勝(春場所は2勝)した時点で勝ち抜けとなる。出場した力士は新序出世披露を受けて「新序」となり、翌場所から番付にしこ名が載る。

 ◇須山 穂嵩(すやま・ほたか)1997年(平9)9月23日生まれ、埼玉県ふじみ野市出身の24歳。埼玉・市浦和高から2浪を経て東大文科3類に入学。大学入学後に相撲を始め、20、21年度は相撲部主将を務めた。1メートル80、104キロ。家族は両親と弟。

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