開幕目前のWNBAに漂う暗雲 ロシアから戻ってこない米五輪代表グライナーへの思い
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【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】東京五輪バスケットボール女子で日本の銀メダル獲得に貢献したガードの町田瑠唯(29)が挑戦する米女子プロバスケットボールのWNBA(12チーム所属)は6日に開幕。2019年のファイナルを制しているワシントン・ミスティックスはインディアナ・フィーバーと初戦を行うことになっている。
日本では町田の存在で“希望”を感じるWNBA。しかしその一方で暗雲も漂っている。
東京五輪のバスケ女子決勝で日本を倒して五輪7連覇を達成した米国のセンターで、WNBAではフェニックス・マーキュリーに所属しているブリトニー・グライナー(31=206センチ)はまだロシアから米国に戻っていない。
2014年のWNBAファイナルでマーキュリーの優勝に貢献している同選手はオフの間、ロシア・リーグのチームでプレーしていたが、今年の2月中旬、モスクワ郊外のシェレメチェボ国際空港に到着した際の荷物チェックで、ロシアでは違法の大麻オイルが見つかったために身柄を拘束された。
有罪ならば最長で禁固10年というロシアの国内事情を把握せずに入国したとすれば、すべての責任はグライナーにあるのでその点についてはきびしく批判される部分ではあるが、不運なことにこの直後にロシアによるウクライナ侵攻が始まってしまった。
重大犯罪でもないのにロシア当局はまだグライナーに対する処分を決めておらず、今月19日まで「捜査中」という名目で身柄の拘束を継続すると言明。そこにはこの一件をウクライナ問題で米国との取り引き材料にしようする思惑が見え隠れしている。
米国とロシア政府は4月27日、米国で服役中のロシアのパイロットと引き換えに、ロシアで3年間、拘束されていた元海兵隊員トレバー・リード氏(30)が解放されたと発表。ロシアによるウクライナ侵攻を背景に米・ロシアの関係が悪化する中での捕虜交換とあって注目を集めた。
これを受けてグライナーの同性婚の伴侶、シェリル夫人は「リードさんの家族の心の痛みはよくわかるので、喜びであふれています。この痛みは愛しき人が戻ってきて初めて癒されるものですから」と自身の心境を吐露。グライナー解放にも期待を寄せるようなコメントだった。
なぜグライナーらがロシアでプレーしていたのか?そこには米国の女子プロスポーツの待遇面での低さが関連している。
男子のNBAの今季の最高年俸はステフィン・カリー(34=ウォリアーズ)の4578万966ドル(約59億5200万円)だが、WNBAの最高年俸は22万8094ドル(約3000万円)。ロサンゼルス・スパークスに所属して選手会の会長を務めているネカ・オグミケイ(31)が「WNBAの選手は十分な報酬を得ていません」と語っているように、同じ競技なのに200倍もの“男女格差”が生じている。WNBAの在籍2シーズンまでの選手の最低年俸は6万471ドル(約790万円)で町田もこれに該当。NBAの最低年俸は92万5258ドル(約1億2000万円)なので、ここにも大きな賃金格差がある。
NBAのレギュラーシーズンは82試合でWNBAは36試合。試合数の差がかなりあってリーグの歴史やビジネスモデルも違うので単純比較することはできないかもしれないが、それゆえにサラリーが数倍高いというロシアでオフの間にグライナーが“副収入”を得ようとしたのも無理のない話かもしれない。
AP通信によれば3月にグライナーに面会したロシアの米大使館員は「健康状態は良好だった」と語っているが、ベッドなどが大柄なバスケ選手にとっては小さすぎるといった不備が指摘されており、自らが招いた事態であるとは言え、五輪で2つの金メダルを手にしている有能なアスリートにとっては選手生命に影響する危険性も出てきている。
ウクライナ問題を語るとき、最優先で考慮すべきはウクライナ国民の命と生活。だからどうしても米国のスポーツ選手の問題は陰に隠れる。そして形勢逆転につながる“ビッグプレー”を誰も思いつかないままに刻々と時間が経過。1996年に創設されたWNBAは、かつて経験したことのない“重荷”を背負って2022年シーズンの開幕を迎えようとしている。
◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。NFLスーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会には7年連続で出場。還暦だった2018年の東京マラソンは4時間39分で完走。
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