YouTube、TikTok登録者数10万人突破 B1川崎のデジタル戦略

[ 2022年3月23日 15:31 ]

天皇杯を制し喜ぶ川崎ブレイブサンダースの選手たち
Photo By スポニチ

 デジタル戦略でひときわ存在感を放つクラブがある。バスケットボール男子Bリーグ1部の川崎は2月にYouTubeのチャンネル登録数が10万人を突破。50万人超の巨人、17万人超のソフトバンクなどプロ野球球団には及ばないが、大台到達はBリーグ、Jリーグのクラブでは初となった。TikTok登録者数も10万人を超え、全プロスポーツクラブの中で巨人に次ぐ2位につける。

 18年にDeNAが東芝から運営権を取得し、SNSやデジタルマーケティングの強化が進んだ。YouTubeチャンネルは16年9月に開設。登録者数は注力前の19年8月時点で約4000人だったが、約2年半で25倍と飛躍的に伸びた。21年3月にはUUUM(ウーム)とパートナーシップ契約を締結。クリエーター、インフルエンサーのマネジメントを中心にゲーム、メディアなど幅広く事業展開する東証マザーズ上場企業とタッグを組み、動画の制作体制を強化した。

 再生回数10万回を超える動画を多数投稿。直近1年間のデータでは、登録者の13~24歳が全体の4割を占めるなど若年層からの注目が高い。プロバスケ選手がどれくらい遠くからシュートを決められるかを検証する動画や、選手によるNBAや漫画のスーパープレー再現、はじめしゃちょーら人気YouTuberとの共演など内容は多岐にわたる。20~21年シーズン以降はスポンサーとのコラボ動画の投稿も積極的に実施。リクルートの協賛で1月に投稿した映像は1カ月で57万回再生された。既にYouTube上の協賛で数千万円規模の収益を上げている。

 動画撮影にはチームの協力が欠かせない。出演選手への謝礼は基本的になく、出演実績などがクラブとの契約の査定に反映されることもない。それでも選手の意識は高く、企画を提案されることも珍しくない。撮影は午前練習の日の午後などを利用し、1本の動画にかける時間は最大でも1時間半程度。本業のプレーに支障が出ないことを徹底している。

 TikTokはバスケ観戦歴の少ないライト層をターゲットにして、プレー映像の発信に重点を置く。臨場感ある動画を撮影するため、試合会場では通常B1リーグでは3台しか設置されないカメラを30台以上も設置。最先端技術を駆使してカメラ側が動いているような映像を実現させた。初めて試合会場に来た10代の観戦者の約40%がTikTokを見てチケットを購入しており、若い世代を開拓する強力コンテンツに成長した。

 事業戦略マーケティング部の藤掛部長は「川崎ブレーブサンダースのデジタル施策は、ライトな人でも楽しめる面白いコンテンツ制作で地盤を固めつつ、アライアンスなど戦略的な動きでも業界をリードしてきたと自負しています。今後は、継続的に新規ファンを広げつつ、集客効果だけでなく多様な売り上げ効果を生み出すことで、スポーツ界全体の活性化にも貢献していきたい」と意欲を見せた。

続きを表示

2022年3月23日のニュース