若隆景が1敗死守 阿炎との同学年新関脇対決を制した 11日目は全勝高安と激突

[ 2022年3月23日 05:30 ]

大相撲春場所10日目 ( 2022年3月22日    エディオンアリーナ大阪 )

阿炎をよりきりで破った若隆景(撮影・井垣 忠夫)
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 若隆景が阿炎との同学年新関脇対決を制して1敗を守った。11日目は大関経験者で全勝の平幕・高安を迎え撃つ。昨年春場所は13日目の対戦で高安を単独トップから引きずり下ろした。それを再現すれば1936年の双葉山以来となる新関脇優勝も見えてくる。平幕の琴ノ若は1敗を守り、新大関の御嶽海は2敗に後退した。

 額付近から流れ落ちる鮮血が右目に入り、若隆景は思わず顔をしかめながら勝ち名乗りを受けた。阿炎と同学年新関脇対決は意地と意地のぶつかり合い。一歩も引かないどころか、グイグイ踏み込んだ。師匠、錣山親方(元関脇・寺尾)譲りの阿炎の突っ張りを連打されても、低い姿勢で下からあてがい応戦。相手の引きを誘発すると、すかさず体を寄せた。「下からの意識で相撲を取れました」。短い言葉に充実感がにじむ。

 土俵下で見届けた藤島審判長(元大関・武双山)が絶賛する。「強い。阿炎の突っ張りにビクともしない。土俵に根が生えたよう。間違いなく大関候補になりました」。さらに「昔いたタイプの力士みたい。しぶとくて」と付け加えた。サイズは1メートル81、130キロ。現在のように幕内平均体重が160キロ前後と大型化する以前、そっぷ型でも強靱(きょうじん)な足腰を武器に活躍した力士の古風な姿を重ね合わせた。

 11日目は全勝の高安と賜杯の行方を左右する大一番に臨む。相手は元大関という実力者だけに「一生懸命やるだけですね」。過去5勝2敗と優勢。昨年春場所は13日目に寄り倒し、高安を優勝争い単独トップから引きずり下ろした実績がある。それを再現すれば今回は自身が優勝争いトップに並ぶ。

 新関脇優勝は15日制が定着した1949年(昭24)以降、一度もない。戦前までさかのぼり、32年春の清水川(8戦全勝)、36年夏の双葉山(11戦全勝)以来3人目で、86年ぶりの快挙となる。「体は動いている。明日からも頑張ります」。場所中に口数が減るのも古風なスタイルだが、その分一言一言に気合がこもっている。

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2022年3月23日のニュース