大相撲の安全管理はどないなってんの 「お客さんファースト」の精神も忘れんといてや

[ 2022年3月23日 08:00 ]

鳥内秀晃氏
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 【名将・鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】まず、最近、ホンマに驚いた話するわ。大相撲春場所の3日目を会場に観に行って。石浦関(西前頭5枚目)が土俵下に落ちたシーンがあってんけど、駆けつけたんは呼び出しとか裏方の人ばっかりで、救急隊が全然出てけえへんねん。頭を強打したんか、首をひねったんか、動かしてええんか、あかんのか、素人では判断でけへんやろ。お相撲さんを運べる担架とか、有事の準備はちゃんとできてんのかな。最後は立ち上がって自力で戻っていったけど、あんなん絶対におかしいで。

 前回のコラムでも書いたように、やっぱり土俵の外側の部分を広げんかったら危ないわ。あんだけの落差から大型の力士が落ちてきたら、観てるお客さんかて、下敷きになる危険性があるわけやろ。土俵を大きくして、審判団が際どい判定を見にくいって言うんなら、AIとか発達した時代やねんから、ビデオをチェックしたらええやん。

 あと不思議なんは、会場に立派なビジョンがあるのに、何で使わへんのやろ。取組をリプレーで見せたり、力士の情報なんかを載せたら、みんな喜ぶやん。お金払って会場まで来てくれてる人にもっとサービスでけへんのかな。密を避けるため、マス席は今のまま2席でええと思うけど…。

 スポーツの話題でいうと、全柔連(全日本柔道連盟)が小学生の全国大会を廃止するニュースもあったな。けど、オレから言わせたら、今さらのことやで。こういう大会があるから、親や指導者が頂点を目指して、エゴだけで有望な選手をつぶしてまいよんねん。他の競技も、どんどん追随してほしいな。

 アスリートのピークがどこに来るかは人それぞれやろ。その子がどんな競技に向いてるかも、やってみな分からへんやん。特に小学校の間は、いろんな種目にトライした方がええねん。五輪でしか見ないような競技をやっている人も、小学校を回って普及活動して、魅力を伝えたってほしいな。とにかく、勝敗は気にせんと、指導者はスポーツがどんだけ楽しいもんか教えたるだけでええんちゃうかなあ。

 それから選手が多すぎて、試合にも出られんと、応援ばっかりしてる子がいるのもよくないで。1チームの人数を制限するとか、試合では必ず全員を使わなあかんルールを作ればええやん。あと、「一度始めたら、最後まで続けろ」って親が強制するのもあかん。補欠で何がおもろいねん。たとえ一回やめたとしても、本人が「また、やりたい」言うたら、やらしたったらええやん。小学校の間は「三日坊主」でOK。子どもが夢中になれるもんを探してやるのが親、指導者の役目や。頼むで、ホンマ。(関西学院大アメリカンフットボール部前監督)

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2022年3月23日のニュース