パラバイアスロン日本代表・小舘操ヘッドコーチ 五輪の技術伝える「同じ競技者」

[ 2022年3月9日 05:30 ]

北京冬季パラリンピック第5日 バイアスロン ( 2022年3月8日    国家バイアスロンセンター )

パラバイアスロンの小舘操ヘッドコーチ(日本障害者スキー連盟提供)
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 【支える人(4)】オリンピアンの技術を、パラリンピアンたちへ――。パラバイアスロン日本代表の小舘操ヘッドコーチ(60)はパラアスリートを指導するにあたり、ある意識を持っている。

 小舘ヘッドはバイアスロン選手として88年カルガリー、92年アルベールビル、94年リレハンメルの五輪3大会に出場し、健常者の指導経験も持つ。その実績に目を付けた日本障害者スキー連盟からオファーを受け、19年4月からヘッドコーチとしてパラスポーツの世界へ飛び込んだ。

 最初は引き受けるか迷ったという。「同じバイアスロンでも、健常者と障がい者の違いはある。どういう指導をしたらいいのか。その壁があった」。すぐに返事はできなかった。それでも、選手が世界を目指していることに変わりはないのではないか。指導者として「自分の経験を生かせる場ではないのか」との結論に至った。

 最初は選手を知ることから始めた。19年11月に中級障がい者指導員の資格を取得。水泳時のプールでの支援方法や障がいの度合いに応じた言葉遣い、接し方などを一から学んだ。競技の指導は経験をフルに生かした。射撃では選手の障がいなどの状態まで考慮しながら、フォームを細かく助言。佐藤圭一は「経験値が豊富で、寄り添ってくれる」と信頼を寄せる。

 小舘ヘッドが大切にする意識は「あくまで同じ競技者」ということ。「(選手に対し)障がい者という感覚がない。アスリートに指導している」。技術の伝承に、壁はなかった。

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2022年3月9日のニュース