世界最速夫婦だ!鈴木&一山が同一マラソン夫婦合計タイムギネス記録更新

[ 2022年3月7日 05:30 ]

東京マラソン ( 2022年3月6日    東京都庁前~東京駅前 )

東京マラソン男子で日本勢トップの4位でゴールした鈴木健吾
Photo By 代表撮影

 男子で日本記録保持者の鈴木健吾(26=富士通)が同歴代2位の2時間5分28秒で日本勢最高の4位に入った。妻で東京五輪女子8位の一山麻緒(24=ワコール)も2時間21分2秒で日本勢最高の6位の快走で、同一マラソン夫婦合計タイムのギネス記録を更新。夫婦で7月の世界選手権(米国)の出場権獲得へ大きく前進し、24年パリ五輪の出場権を争う来年秋のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権も手にした。

 男泣きのフィニッシュだった。日本人トップで駆け抜けた鈴木は、重圧から解き放たれるかのように言った。「日本記録を出してから1年間、とても苦しかった。それを今日乗り越えられた」。合計タイムのギネス記録で“世界最速”となった妻の一山とは笑顔で抱擁。「ギネス記録ということで、シンプルにうれしいです」。寡黙な男が少しだけ、はにかんだ。

 過去の自分との勝負だった。自らの日本記録を想定した1キロ2分58秒の集団についた。20キロすぎに失速したペースメーカーに「ちょっと上げてほしい」と要求する場面もあった。25キロすぎから「先行逃げ切りで」一気に仕掛けた。日本記録ペースから終盤に失速したものの、他の日本勢に2分以上の差をつける圧勝だった。

 2月上旬に膝を痛め「状態もあまり良くなかった」と明かす。世界記録ペースのトップ集団に食らいつくことは自粛。「日本人トップで世界選手権の代表を獲ることを一番に掲げた」。欲張らずに自らの走りに徹した。

 昨年2月のびわ湖毎日で日本記録を樹立した。既に打ち切られた賞金1億円も、東京五輪切符もない。ついてきたのは想像以上の重圧だった。周囲からの視線や注目度…何もかもが変わった。「あまり前に出て目立つのが得意ではない。精神的にかなり削られる場面が多かった」。国内最強ランナーとしての結果や振る舞いを求められ続けた。

 そんな状況でも、ともに戦う伴侶を得た。昨年12月に一山と結婚を発表。妻の練習量には、いつも驚かされてきた。「苦しい時も、しっかり共有して高め合いながらやってきた。彼女には力をもらった」。夫婦の力で乗り越えてきた。

 夫婦2人で世界選手権出場を濃厚とし、24年パリ五輪へとつながるMGC出場権もゲットした。本当の戦いはこれから。「まだ日の丸をつけて世界と勝負していない。どんどん世界の強い選手にチャレンジしたい」。春を告げる3月の東京から、新たな挑戦が始まった。

 《従来の記録35秒短縮》ギネス公式サイトによると、同一大会での夫婦合計タイム世界記録は4時間27分5秒。17年4月9日にパリ・マラソンでアベックVを飾ったケニアの夫ポール・ロンヤンガタと妻プリティ・リオノリポが達成した。今回ともに日本人トップだった鈴木、一山夫妻の合計タイムは4時間26分30秒。同記録よりも35秒速い新記録となった。

 ▽マラソン世界選手権とMGC派遣突破基準 7月の世界選手権は男女各3枠。「ジャパンマラソンチャンピオンシップ」(JMC)対象大会の記録と順位を得点化し、今月までのランク「JMCシリーズ1」の日本人トップを最優先で決める。鈴木、一山ともトップ。24年パリ五輪の代表選考会MGC出場には各対象大会の基準順位、タイム突破や今年の世界選手権8位以内、杭州アジア大会3位以内などが条件となる。

 ◇鈴木 健吾(すずき・けんご)1995年(平7)6月11日生まれ、愛媛県宇和島市出身の26歳。神奈川大3年の17年に箱根駅伝2区で区間賞。初挑戦となった18年2月の東京マラソンでは2時間10分21秒で19位。昨年2月のびわ湖毎日マラソンで2時間4分56秒の日本新記録で優勝し、10月シカゴマラソンでは2時間8分50秒で4位だった。1メートル63、46キロ。

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