上野雄大氏 高得点つながる後ろ向きの滑りに注目 フリースタイルスキーHP

[ 2022年2月17日 05:30 ]

谷愛凌(AP)
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 【今日のツボ教えます フリースタイルスキーHP・上野雄大】スノーボードで注目が集まったハーフパイプ(HP)だが、フリースタイルスキー(FS)HPにはまた別の魅力がある。スピードや高さ、技のバリエーションもスノボに引けを取らない。14年ソチ五輪日本代表コーチの上野雄大氏(40)が、見どころや日本から唯一出場する女子の鈴木沙織(32=城北信用金庫)への期待感を語った。

 両足が固定されるスノボと、それぞれの足で板を履くスキー。HPでも共通点は多いが、スキーならではの注目点もある。一つは正面向きに滑った時のスピード。今大会はパイプのサイズが大きく状態もいいため、スピードに乗りやすい。その分、エアの高さや完成度が高まり、最高のパフォーマンスが見られるだろう。また、後ろ向き(スイッチ)に滑るのもスキーならでは。高い技術が必要で、ぜひ注目してほしい。

 スノボでは飛び出す方向別に4つの呼び方があるが、スキーの場合は正面とスイッチ、どちら向きで滑っても山側に回転する場合をアリウープと呼ぶ。スイッチエントリーは限界スピードが正面の7割程度のため、高難度のエアをすれば高得点につながる。男子では1620(4回転半)、女子は1080(3回転)が最高難度。スイッチからスイッチへの連続技、さらにダブルコークを組み込む選手もいる。

 五輪初採用だった14年ソチ大会では小野塚彩那が銅メダルを獲得したが、今大会の日本勢の出場は1人にとどまった。鈴木は高回転技が海外のトップ選手に及ばなくても、スイッチ技を持ち、安定して高さを出せるのが特徴。五輪は多くの国民が見てくれる絶好の機会。ぜひ決勝に勝ち進み、子供たちに“スキーでもHPがあるんだ”と思わせてほしい。

 海外勢では女子で米国出身の谷愛凌(中国)が注目を集めているが、彼女のように2000年以降の生まれの選手はHPだけでなく、スロープスタイルやビッグエアにも出場するオールラウンダーが増えている。こうした選手は適応能力が高く、今大会の大きなパイプにも対応できる。今大会の3種目で、どんなパフォーマンスを見せるかにも注目だ。(14年ソチ五輪日本代表コーチ、野沢温泉村村会議員)

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