関学大 4年生の底力で甲子園ボウル4連覇 学生王者4年間守り続けた最上級生への「賞状」

[ 2021年12月20日 05:30 ]

アメリカンフットボール・三菱電機杯第76回毎日甲子園ボウル   関学大47-7法大 ( 2021年12月19日    甲子園 )

甲子園ボウル4連覇を達成し、記念撮影する関学大の選手たち(撮影・後藤 大輝)
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 4年生の底力だ。関学大(西日本代表)が法大(東日本代表)を47―7で下して4連覇を果たし、史上最多を更新する32度目の優勝を飾った。先制とダメ押しの2TDを決めたRB斎藤陸(4年)が甲子園ボウルMVP。ミルズ杯(年間最優秀選手)に輝いたRB前田公昭(4年)が負傷で本来のプレーができない分までフィールドを駆け抜けた。法大はチーム唯一のTDを決め、94ヤードゲインと奮闘したRB星野凌太朗(3年)が敢闘選手に選ばれた。

 全力を尽くした4年間に対する「賞状」だった。47―7と勝負の決した第4Q。普段、出場機会のない4年生が、守備位置に散っていく。ベンチ入りした最上級生41人が聖地を踏んだのを見届け、カウントダウンは0を告げた。

 「最後の瞬間、涙が出て…。しんどいこともいっぱいあったけど、全部報われました」

 感慨を口にしたRB斎藤が4連覇の道筋をつけた。第1Q、敵陣46ヤードからのドライブ。22ヤードパスキャッチで勢いをつけ、13ヤードの先制TDランにつなげた。「今までで一番、落ち着いてプレーできた」。エンドゾーンまで駆け抜けた背番号27の脳裏に、前田の顔が浮かんでいた。

 甲子園へ導いたエースRBは、立命大戦(5日)の前半途中に足を負傷。2週間全く練習できず、歩くのもやっとの状態で大一番を迎えた。「オレの分まで頼むで」――。同じポジションで汗を流し、お互いの目を見れば意思疎通できる関係でも、前田は試合前、あえて声を掛けた。「僕がケガをして、一番やってやる、という気になってくれたのが斎藤だった。活躍してくれて良かった」

 4年生の底力を発揮したのは、地上戦を担った2人だけではない。春季シーズン直後の7月中旬。チームが定めた新型コロナウイルス感染予防ガイドラインの違反者が出て、7月27日から1カ月間、学内施設の利用禁止を命じられた。部員の感染者も計20人。大村和輝監督は「あの当時が一番つらかった」と振り返る。選手同士が疑心暗鬼になる中、4年生は積極的に下級生と話し合いの場を持ち、一体感を保つ努力を続けた。

 「勝因?4年生の頑張りが他のチームより、少し勝っているのかな、と思います」

 指揮官はこう断言した。前田がミルズ杯、斎藤が甲子園ボウルMVPに輝いたフィナーレ。学生王者を4年間守り続けた勲章が何よりも誇らしい。(堀田 和昭)

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