もちろん専門競技の力も向上! 様々なスポーツに取り組む経験は子どもの可能性を広げてくれる

[ 2021年12月15日 08:00 ]

「多種多様型育成スポーツクラブ」の小寺学さんは子どもたちの将来を考えた取り組みを続けている
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 バドミントン少女やサッカー少年が野球の試合に出て、野球少年がサッカーやバドミントンの試合に出る。複数種目に取り組むことで、専門競技の力を向上させている、小中学生向けの民間クラブが滋賀県近江八幡市にある。「多種多様型育成スポーツクラブ」の子供は、野球、サッカー、バドミントン、陸上のコースに入りながら、日々、さまざまなスポーツに触れている。

 主宰する小寺学さん(40)は「ここから世界へ旅立ってほしい。野球ならMLB、サッカーなら欧州、陸上、バドミントンなら五輪へ」と青写真を描く。出発点は野球塾の指導者。スポーツトレーナーの知識を土台にして、数々のプロ野球選手を育てた。この20年間で、さまざまな種目を経験させた方が子供の力が伸びると感じ19年に4種目が同居するクラブを設立した。

 小寺さんによると、いろいろなスポーツに挑戦させた結果、野球だと、球速や50メートル走の数値が過去の生徒と比べて向上したそうだ。モットーは「夢中にさせること。夢中になれば楽しくなり、努力もする」。運営が評判を呼び、大阪、兵庫からも訪れ、全コースで130人の大所帯になった。

 バレーボール男子の東京五輪日本代表、小野寺太志(25=JT広島)は、元野球少年で、長身を買われて中3夏からバレーボールを始めた。すぐにのめり込んだという。

 「一番大事なのは、その競技を楽しいと思うこと。合う合わないはそれぞれある。僕はバレーボールに出合って頑張ろうと思った。子供たちはいろんな競技をして、うまくなりたいと思う競技を探すのも手だと思う」

 複数チャレンジは金銭的負担を生じかねないが、小中学生はさまざまな競技に触れた方がいいという声は多い。将来的には運動能力の向上につながり、小野寺のように、本当に好きな競技と出合うきっかけにもなる。

 小寺さんは「子供の成長のタイミングはそれぞれ異なる。大人が限界を定めると、その枠にとどまってしまう」と警鐘を鳴らす。競技もポジションも、早くから限定しすぎることは、決してプラスではない。子供の可能性を、大人がつぶしてはいけない。(倉世古 洋平)

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2021年12月15日のニュース