哲学を貫き日本一を狙う両指揮官 そして2人の薫陶受けた教え子たちが完全燃焼を目指す

[ 2021年12月15日 05:30 ]

第76回毎日甲子園ボウル   関学大―法大 ( 2021年12月19日    阪神甲子園球場 )

第76回甲子園ボウル
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 【Road to 甲子園ボウル 12月19日決戦】決戦を控えた緊張感が一瞬だけ緩んだ。関学大と法大が9年ぶりに聖地で顔を合わせた6日の会見。関学大・大村和輝監督と法大・有澤玄ヘッドコーチ(HC)は旧知の仲で、息の合った掛け合いが会場の空気に血を通わせた。

 大村監督「(有澤HCは)僕を先輩扱いしてくれるけど、ホンマはそう思ってないような感じ」

 有澤HC「いや、オービックのコーチをされている時から憧れの人で」

 大村監督「ほら、こういうとこなんです」

 甲子園ボウル4連覇を狙う50歳の関学大指揮官に対し、法大を率いる将は49歳。同世代で、ともに2度、学生時代に聖地で戦った経験を持つ2人の指導者としての哲学や、チームへのアプローチは興味深い。

 大村監督の1日は、チームの試合動画チェックから始まる。大差で勝ったゲームでも、想定と違ったり、納得のいかないプレーが一つでもあれば、担当コーチに理由を尋ねる。「失敗するプレーは99%がこちらのミス。だから“何でやねん”ってなる。完璧主義者?そうかもしれませんね」

 趣味は読書。将棋の羽生善治九段と元プロ野球監督の野村克也氏(故人)の本を愛読する。「何万とある選択肢の中で、実際に残る手は2つか3つ。将棋の一手とアメフトのプレーコールは、その確信と直感の間を行ったり来たりする部分がとても似ている」。野村氏の著書からは、人材活用のヒントを得ている。「どんな選手でも、必ず光る部分はあるってことですよね」。DL赤倉航希(4年)、LB海崎琢(2年)ら大学入学後のコンバート組が多いのも、決して偶然ではない。

 就任5年目の有澤HCは最初、1年生が雑用や買い出しをする体育会的光景に違和感を抱いた。本来は下級生になるほど、授業が忙しく時間がない。「合理的じゃないなって。“1年生が強くならないと勝てないよ”って言って」。伝統を尊重し、変化を恐れずチーム強化を進める中で、絶対に揺るがない“芯”はある。

 「学生スポーツって、どれだけ自分が成長できるかが大事。だから、コーチも学生と一緒に勉強しないといけない」

 いずれも第1ユニホームの「青」と「オレンジ」がぶつかる甲子園。2人の薫陶を受けた教え子たちが完全燃焼を目指す。(堀田 和昭)
 =終わり=

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