フェンシング・徳南堅太 コロナ禍での2度目の五輪「東京五輪に出場できたのは誇り」6日全日本選手権決勝

[ 2021年11月3日 10:00 ]

徳南堅太インタビュー(上)~2度目の五輪出場そして全日本選手権へ~

スポニチアネックスのオンラインインタビューに応じた徳南堅太
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 今月6日、第74回全日本フェンシング選手権の男子サーブル決勝に出場する徳南堅太(34=デロイトトーマツコンサルティング)がスポニチアネックスのオンラインインタビューに応じた。2大会連続五輪出場となった東京五輪を振り返り、全日本選手権への準備期間についても明かした。

 ――東京五輪お疲れ様でした。少し時間がたちましたが、2度目の出場となった東京五輪を振り返ってもらえますか?
 「今回、2度目のオリンピック出場でした。コロナ陽性者が少し出てしまったものの、パラリンピックも含めて無事に東京オリンピックが開催されて、全体的に見て成功か失敗かでいうと成功だったのかなと感じました。フェンシングのトータルで見た時に男子エペ団体で金メダルを獲得しました。僕たちもメダル獲得を目標にしていた部分ではあったんですけど、日本フェンシング界の悲願でもありましたし、今までは銀メダルが最高だったので歴史的快挙の金メダルということで僕も含めて感動しました。武井壮新会長になってメディアの露出も追い風になり、かなり認知度も上がったと感じています」

 ――個人的な部分で東京五輪を振り返ってみて、どんなことを感じていますか?
 「僕自身は団体戦のみの出場ではあったんですけど、最終順位は9位でした。1回戦は強豪のエジプトと対戦しました。試合でリザーブ選手の僕が出場する時は、チームが劣勢の時だと予想していたので、いつでも試合に出場できる準備をしていました。僕の中では最大限のパフォーマンスを出せたつもりです。それがチームの勝利に直結すれば良かったんですが、団体戦の難しさもありました。連取したり、大量得点でチームに勢いをつけるのが僕の任務だったので最低限のところはクリアできたのかなと思っています。メダル獲得というところには至らなかったので、そこは悔しさが残る部分ではあります。でもリオに続き、オリンピックという大舞台に2度も立てたのは今後生きていく上でも財産になりました。競技以外の部分でも必ず生きてくると思います。15歳でフェンシングと出合って、19年間やってきて地元日本で開催された東京五輪に出場できたのは誇りに思います」

 ――前回のリオ五輪に出場した時と比べて心境の変化や何か特別に感じることはありましたか?
 「僕は観衆の前で試合した方がよりパフォーマンスを発揮できるタイプだと思っています。今回、無観客試合になってしまって残念な部分もあり、日本の生の声での声援がなかった分ホームアドバンテージがフルに生かせたかというと微妙な部分もあったと思います。なので、皆さんの前でパフォーマンス出来なかったのは1つ心残りではあります。ただコロナ禍の中で難しい開催だったとは思うんですが、アスリートの立場からすれば東京オリンピックを開催してほしいという気持ちが強かったです。でも大きく口に出してなかなか言えないシチュエーションだったので、今でも最前線で活動されている医療従事者の方々のことを思ったり、複雑ないろんな気持ちがあったオリンピックでしたね」

 ――東京五輪から短い期間で全日本選手権が開幕しました。全日本に向けて修正したことなどはありましたか?
 「オリンピック前は団体戦の出場という部分もありましたし、個人戦に出場する選手のサポートの役割も担っていました。全日本選手権は個人戦のみなので、オリンピックが終わって個人にフォーカス出来る期間でした。そしてオリンピックが終わってヘッドコーチが任期満了で新しいヘッドコーチを探している状況です。次のコーチが誰になるかはまだわからない状況の中で、今まではチーム全体でヘッドコーチを含めた日本人のアシスタントコーチが作成した1週間のスケジュールや1カ月のスケジュールで動いていたんですけど、今はチームのスケジュールが出ている中でも全日本選手権に向けてチームに気を使わずに個人のみに集中できるということで五輪前後と比べて気持ちの部分で変わったというところがあります」

 ――団体戦から個人戦に変わることで気持ちの部分で変わったんですね。
 「そうですね。あとは年齢を重ねるにつれて、フェンシングの練習ボリュームを少し調整しています。若い時はガンガン練習していたんですけど、年齢を重ねていくと練習をやりすぎない方が一番パフォーマンスが出しやすいということを自分で見つけました。なので、どちらかというフィジカルトレーニングやビジョントレーニングを取り入れたり、フェンシング以外のトレーニングを休み時間などをうまく使いながらやるようにしています。変わったトレーニングでいえば、エペのヘッドコーチに許可を得て、エペのフットワーク練習に参加させてもらってます。普段は使わない動きや体の使い方などサーブルには直結しなくてもリンクさせて、自分の競技力向上につなげています。他にはトレーニングの時にトランポリンを飛ばせてもらったり、フェンシング以外のトレーニングにフォーカスしているのが、大きく気持ちが変化した部分ですね」

 ――全日本選手権に向けて変わったトレーニングを取り入れたりもしてるんですね。
 「年齢を重ねて自分のコンディションの部分に注力できるようになったので、自分の中で一番パフォーマンスを発揮しやすくするために、フィジカルトレーニングを大事にしています。サーブルは瞬発力や爆発力が物凄く大事です。週3回はフィジカルトレーニングをするようにしています。ナショナルトレーニングセンターのトレーナーやコーチなどと相談しながらやっています。自分は全日本選手権を終えたら今年はお休みしようと思っています。3年後のパリを目指すかどうかは全日本選手権が終わってから会社の人たちとのミーティングもあるので、どちらにしても良い形で2021年を締めくくれればいいなと思います」

 ◇徳南 堅太(とくなん・けんた)1987年(昭62)8月17日生まれ、福井出身の34歳。デロイトトーマツコンサルティング所属。16年リオ、21年東京と2大会連続で五輪に出場した。“サーブルケンタウロス”のキャッチコピーを持ち、全日本フェンシング選手権・男子サーブル決勝で2018年以来3年ぶり3度目の日本一を狙う。

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