パラ陸上男子400金メダル 佐藤友祈 プロ転向先決めた企業の“男気”

[ 2021年8月28日 05:30 ]

東京パラリンピック第4日・陸上 ( 2021年8月27日    国立競技場 )

ファンらとオンラインでつなぎ、車いす陸上男子400メートルの佐藤友祈らに声援を送る「モリサワ」の社員ら
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 東京パラリンピックで陸上勢初の金メダルを獲得した男子400メートル(車いすT52)の佐藤友祈(31)は開幕直前の今年2月、プロ転向という大決断をした。所属先はフォント制作会社「モリサワ」。鮮やかなラストスパートを目にしたマネジャーの白石歩さん(35)は「本当によかった。最後まで楽しませてもらった」と涙ながらに喜びをかみしめた。

 転向先の決め手は白石さんの“男気”だった。出会いは昨年12月中旬。所属先を探していた佐藤のツイッターに、直接ラブコールを送ったのが白石さん。同社は2015年からパラスポーツの支援を行い、日本障がい者スポーツ協会などのオフィシャルサポーターを務める。「小さな会社だが“俺たちの履歴書を見てくれ”という気持ちでした」。金曜に思いを伝え、土日を挟み月曜に役員会を実施。予算決算もすっ飛ばし、わずか4日のスピード勝負をみせた。

 今では互いを「友祈」「シライティ」と呼び合う仲。「友祈は思い立ったら即行動タイプ。所属決定までの機敏さを気に入ってもらえたのかな」と振り返る。社としても盛り上がりを、決勝の時間に合わせてzoomを用いた応援観戦会を実施。勝利の瞬間には歓喜を分かち合った。「とにかくまっすぐな性格で、アスリートとして絶対的な自信がある。尊敬もしているし、これからもサポートしていきたい」。揺るぎない覚悟で、世界王者の行く道を支えていく。

 ≪妻・麻由子さん“パラ仕様”のネイルで応援≫19年に結婚した佐藤の妻・麻由子さん(38)は「本当にうれしいのと、面白いレースだった。最後の直線は“早く来て!”って思いながらレースを見てました」と目に涙をためて答えた。大会直前にパラリンピック仕様のネイルを施し、レースを見守った。「大会前にこんなことするのは初めて。それだけ私も思いが強かったです」と話した。

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