東京五輪 暑さ対策、輸送、食品ロス…目立った見積もりの甘さ

[ 2021年8月10日 05:30 ]

試合中に体を冷やすジョコビッチ
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 【検証 東京五輪2020(中)】女子マラソンの開始時刻が7日午前7時から同6時に繰り上がるとアナウンスされたのは、前夜の午後7時40分だった。8位に入賞した一山麻緒(ワコール)が既に就寝していたように、選手のコンディションにも影響を及ぼしかねない決定の遅さ。札幌の暑さが想定外で、結果的に変更は選手から歓迎されたが、大会組織委員会の中村英正大会運営統括は「もう少し早く決めないといけなかった」と反省した。

 ボールパーソンにも熱中症が出たテニスはジョコビッチ(セルビア)ら選手が訴えて競技開始を午後3時に遅らせ、サッカー女子決勝もスウェーデンとカナダの要請で試合開始を午前11時から午後9時へ、会場も国立から横浜へ変わった。組織委はコロナ禍以前から暑さ対策に取り組み、開始時間変更などに取り組んできたが、大会になると対応は明らかに後手後手で、調整に時間がかかりすぎた。

 高谷正哲スポークスパーソンは競技日程について「そのスポーツのビジビリティー(視認性)も重要」と露出面も考慮した結果と説明。サッカー女子は本国でも注目される大本命の米国が決勝進出を逃したため、米国時間で夜にあたる午前の試合から変更できたとの指摘もある。大会が進み試合数が減ったことで日程変更が容易になったテニスと同じく、“結果オーライ”の側面は否定できない。

 運営に関しては開幕前から輸送面でトラブルが相次いだ。バスが時間通りに来ない、乗降場を間違える、配車アプリが機能せず1時間も待たされる、などの苦情が各国や競技団体から寄せられ、組織委はバスの台数を増やすなど対応に追われた。コロナ対策で選手村入村が競技開始5日前となり練習時間変更が相次いだ、地方出身ドライバーで都内に不慣れだった、機器の習熟度が低かったなど原因はそれぞれだが、いずれも見通しが甘かった。当て逃げなど大会関係車両の事故や交通違反も目立ち、警視庁は組織委に再発防止を申し入れたほど。タクシードライバーからは「とても(乗客を乗せる)二種免許の運転とは思えない」との声も出ており、質の低い運転手を雇用した側にも責任がありそうだ。

 「食品ロス」も問題となった。開会式でスタッフやボランティア用に発注した弁当約1万食分のうち、約4000食が廃棄されていたことが判明。多忙で食事を取る余裕がないなどの理由があったにせよ、大会序盤は他会場も含め2~3割の余剰が生じていたというのだから、大会コンセプトに「持続可能性」を掲げる組織委として見積もりの甘さは致命的だ。輸送面が急激に改善されるなど日本らしい対応が見られた一方で、きめ細やかさに欠ける“お役所仕事”ぶりも目立った。

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