ベテラン藤田さいき 10年ぶり復活Vへ首位浮上「このブームに乗っかりたい」

[ 2021年7月23日 15:12 ]

<ゴルフ 大東建託いい部屋ネットレディース 2日目>18番、ティーショットを打つ藤田さいき (撮影・西川祐介)
Photo By スポニチ

 女子ゴルフの大東建託・いい部屋ネット・レディース(賞金総額1億2000万円、優勝賞金2160万円)は23日午前7時から北海道札幌市の滝のCC(6578ヤード、パー72)で第2ラウンドを行っている。

 首位に3打差の3位からスタートした藤田さいき(35=チェリーゴルフ)が1イーグル、4バーディー、2ボギーの68をマークし、通算9アンダーの単独首位でホールアウトした。

 プロ16年目のベテランが元気だ。4番パー5(527ヤード)では残り200ヤードの第2打を5Uでピン4メートルに運び、これを沈めて今季7個目のイーグル。今季イーグル数6個の原英莉花(22=日本通運)ら年齢がひと回り以上違う若い飛ばし屋を押しのけてイーグルランキング4位に浮上した。

 「最近、心の底からゴルフを楽しめているのでそれが調子がいい原因かなと思います」

 コロナ禍の中のこの2年ほど、自分のゴルフをじっくりと見つめなおす機会をつくった。試合が軒並み中止になり、練習だけの日々を過ごしていた時、ふと湧き上がってきたのは「まだ、うまくなれるかもしれない」という感情。「そう思いながら練習してたらゴルフが楽しくなりました」。特にショートゲームでは日々、上達していく自分を実感することができた。

 藤田が最後に優勝を飾ったのは2011年10月の富士通レディース。この年、58・1301パーセント(40位)だったリカバリー率は今季62・7193パーセント(36位)に改善した。その結果「多少ミスしてもアプローチとパターでカバーできるので」とゴルフがぐっと楽になった。今季は昨年8月のNEC軽井沢72の2位などトップ10入りが6度。既に賞金約4300万円を稼ぎ出し、3シーズンぶりの賞金シード復活を確実にしている。
 
 残り2日間で目指すのはその2011年富士通レディース以来、10年ぶりのツアー6勝目。「しばらく優勝してないので(優勝争いの)感覚ももう全く分からないんですけど」と不安もあるが「私もこのブームに乗っかりたくて頑張ってるんですよ」とその表情は明るい。

 黄金世代、ミレニアム世代、新世紀世代といった23歳以下の若手がツアーを席巻する中、その流れにあらがうようにこの2カ月、ベテランの復活優勝が続いている。

 6月にはヨネックス・レディースで笠りつ子(33=京セラ)が5年ぶりの6勝目。アース・モンダミンカップでは菊地絵理香(33=フリー)が4年ぶり4勝目。7月に入っても先週のGMO&サマンサカップで若林舞衣子(33=ヨネックス)が4年ぶりの4勝目を挙げた。こうした同じ30代の活躍も藤田の背中を押している。

 今年6月の海外メジャー、全米女子オープンを制した新世紀世代の笹生優花(20=ICTSI)が昨年8月のNEC軽井沢72で日本ツアー初優勝を飾った際、最終日に同じ組で回り笹生に「女ウッズ」のニックネームを付けたのが藤田だった。次々に出てくる若手の活躍を見ながら「若い子からのエネルギーというか、とにかく何をやっても楽しそうだし、私も最初、そうやって楽しくやってたんでしょうから」とかつての自分を重ね合わせることもあるが、彼女たちが今、享受している若さをうらやむことはない。

 「途中、苦しい時期も長かったですし、それを乗り越えた後の楽しさっていうのはまた、全然違いますから」

 熟練の技で10年ぶりの勝利を引き寄せる。

続きを表示

2021年7月23日のニュース