服部道子氏「笹生の勝因はメンタルの成長」パワーと柔らかさはマキロイばり

[ 2021年6月8日 06:05 ]

米女子ゴルフツアー 全米女子オープン最終日 ( 2021年6月6日    カリフォルニア州 オリンピック・クラブ=6486ヤード、パー71 )

10番でティーショットを放つ笹生(AP)
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 【服部道子 メジャーの風】本当に素晴らしい試合でした。日本選手2人のプレーオフになるとは予想もしていませんでしたので、とうとうこういう日が来たのかと感激しながら見ていました。笹生選手の勝因を挙げるとすれば、一番はメンタルの成長だったと思います。

 序盤は優勝争いの重圧でスイングのテンポが速くなり、トップの切り返しで力が入っていました。自分からボールに向かっていく感じになり、インパクトのときに頭が沈み込んでクラブの入射角が安定せず、右に曲げたり左に引っ掛けたりしていました。

 2、3番で連続ダブルボギーを叩き、そのまま崩れてもおかしくありませんでしたが、そこから冷静に気持ちをつないで、立て直したところに彼女の成長を感じました。前日のコラムでもふれたように、4月のロッテ選手権で元世界ランク1位のコ選手と3日目に最終組で回った経験などが生きたのだと思います。終盤の16、17番のパー5まで何とか持ちこたえれば、チャンスをつくれるのではないかというゲームプランも、前を向く要因になったのではないでしょうか。

 彼女のスイングはパワーがあって柔らかく、再現性が高いのが特徴です。ダウンスイングでしっかりタメをつくっているので、大きな力をボールに伝えることができます。男子のR・マキロイ選手のように、腰の回転やスイングの速さで飛ばすタイプ。またインパクト直前まで腰がボールに正対する形になっているのでスイングの再現性が高く、方向性も安定しています。クラブを高い位置から振り下ろしてくるので、深いラフからでもチャンスにつけることができる。パワーのある男子選手のようでした。

 加えて終盤は下りのパットでも、すべて強気に打っていたのも良かったと思います。プレーオフ最後の9番でのバーディーパットは、上りのフックラインでしたが、ずっと強気に打っていたので、タッチを合わせたくなるあの場面でも、しっかり打てていました。

 前半に崩れても、最後は勝ち切った。この経験は大きいと思います。東京五輪の日本の強力なライバルになりそうで怖いですね(笑い)。(東京五輪日本代表女子コーチ)=終わり=

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