【玉ノ井親方 視点】照ノ富士Vに“待った”をかけた遠藤の間髪入れない攻め

[ 2021年5月22日 19:48 ]

大相撲夏場所14日目   ○遠藤(下手投げ)照ノ富士● ( 2021年5月22日    東京・両国国技館 )

<夏場所14日目>照ノ富士(左)を下手投げで破る遠藤(撮影・村上 大輔)
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 遠藤が土壇場で見事な粘りを見せ、照ノ富士の連覇に“待った”をかけた。土俵際の2人の投げの打ち合いは見応えがあったが、遠藤が攻め込んでいた分だけ大関の右肘が一瞬早く土俵に落ちた。

 勝因は遠藤がもろ差しに入って、どんどん攻め込んだことだろう。立ち合いで相手よりも低く当たり、素早く二本差してからの動きが際立っていた。照ノ富士には懐の深さを生かして両腕を極めてしまう武器があるが、遠藤が止まらずに前に出ていったため、その隙を与えなかった。土俵際に寄っていった際の右足の外掛けも効果的で、あれで照ノ富士の投げがワンテンポ遅れた。

 遠藤はアマチュア時代に大きなタイトルを手にしている男らしく、大事な一番になればなるほど勝負強さを発揮する。何より、ここ一番でどんな相撲を取れば、相手が嫌がるかをよく分かっている。今場所の照ノ富士は先手々々の攻めで流れをつかんでいたが、自分の方が先に動くことで勝機をつかんだ。

 これで照ノ富士と貴景勝、遠藤の差は1つに縮まった。千秋楽は照ノ富士と貴景勝との対戦。まだリードしている照ノ富士が優位な立場にいるのは間違いないが、最後まで何が起きるか分からないのが相撲の面白さだ。(元大関・栃東)

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2021年5月22日のニュース