内藤雄士の90切りゴルフ 第5回 爪先上がりを攻略する

[ 2021年5月7日 12:00 ]

内藤雄士(左)と野田すみれ
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 第5回は爪先上がりからの打ち方についてです。傾斜の中では比較的簡単に打てるライですが、実はこのライから練習することでスライスやボールがつかまらないといったミスを防げます。そのことについては次回に説明しますが、まずは爪先上がりからどのように打てばいいのかを知っておきましょう。今回も野田すみれさんがアシスタント役を務めます。

 内藤 爪先上がりのライから打つ場合、野田さんはどのようなことに注意していますか?

 野田 クラブを短く持って、オープンスタンスに構えることでしょうか。

 内藤 ボールが足元よりも高い位置にあるので、クラブを短く持つのは正解です。ただ、ボールがつかまりやすくフックが出るライなのに、オープンスタンス に構えるのはなぜでしょう?

 野田 カット気味にボールを打つことで、ボールが左に曲がる度合いを小さくしたいからです。

 内藤 なるほど。確かにそういう打ち方もありますね。同じ理屈でいうと、ボールがつかまりにくく、スライスが出やすい爪先下がりではクローズスタンスに構えるのでしょうか。

 野田 そうです。ボールがつかまえやすくなるので、スライスを防げますからね。

 内藤 野田さんの打ち方も正解なんですが、練習量が多く、技術的にもハイレベルな人が行う打ち方になります。90切りを目指すアベレージゴルファーの皆さんは、小細工をしようと思わず、できるだけシンプルに考えましょう。ボールがつかまる爪先上がりでは目標の右を向き、ボールがつかまらない爪先下がりでは 目標の左を向いて構え、それぞれフックやスライスを打つ方がいいでしょう。 

 野田 実際に試してみると、内藤さんが勧める打ち方のほうが、傾斜の度合いに応じてどれぐらい曲がるのかを計算しやすいので、グリーンを狙いやすいですね。

 内藤 また、爪先上がりでは平地から打つときよりも上体が起き上がります。ただし、棒立ちになるのはよくありません。股関節が伸びてしまうと体をターンできないからです。バックスイングでは体を右に、ダウンスイング以降では体を左に回転したいので、股関節を曲げた状態にキープできる範囲内で上体を起こし ましょう。スイング軌道はアップライトではなく、フラット気味になります。

 野田 ちなみに爪先下がりではどうやって構えるんですか?

 内藤 ボールが足元よりも下にあるので、クラブは長めに持ちます。それでもまだクラブヘッドがボールに届かない場合は、膝を曲げて構えましょう。スイング中は膝の角度をキープしておきます。大振りすると膝の角度が変わるので、コンパクトなスイングをするべきです。

 野田 コンパクトなスイングはどの傾斜でもいえることですね。

 内藤 そもそも傾斜はバランスを崩しやすいライですからね。あと、ボールの位置ですが、爪先上がりでは目標の右を向いて構えるので、ボールをスタンスの真ん中より1個分右に移動すると、ミート率が上がります。無理に飛ばそうとせず、確実にとらえることを優先しましょう。

 (取材協力・千葉国際カントリークラブ【PGM】)
 
 ◆内藤 雄士(ないとう・ゆうじ)1969年(昭44)9月18日生まれ、東京都出身の51歳。日大ゴルフ部出身。米サンディエゴアカデミーなどで最新のスイング理論を学び、98年からプロを教えるプロコーチとして活躍。丸山茂樹の米ツアー優勝に貢献し、矢野東、谷原秀人ら多くのトッププロを指導。

 ◆野田 すみれ(のだ・すみれ)1999年(平11)2月8日生まれ、東京都出身の22歳。日本女子大卒。3歳でゴルフを始め世界ジュニアの日本代表に10年から3度選出。11年にハワイ・パールオープン・ジュニアで優勝。1メートル57。

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2021年5月7日のニュース