【羽生結弦と世界選手権(4)15年】「いろんなことがあった」試練の先に銀

[ 2021年3月17日 05:30 ]

2015年、中国・上海での世界選手権男子フリーで演技を終えた羽生結弦。ハビエル・フェルナンデスに続く銀メダルだった(撮影・長久保 豊)
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 フィギュアスケートの世界選手権は24日、スウェーデン・ストックホルムで開幕する。新型コロナウイルスの影響で無観客に加え、選手や関係者の安全確保のため外部との接触を断つ「バブル」方式で開催。22年北京五輪の出場枠も懸かる大舞台を前に、羽生結弦(26=ANA)の過去の世界選手権を振り返る。

 【15年中国・上海】

 14年11月の中国杯での激突事故から約4カ月、羽生は同じリンクに立っていた。公式練習では当時のことが頭をよぎったが、それは恐怖心ではなく、ただの回想。「そんなこともあったな」。意識しすぎることなく、本番へ集中力を高めていった。

 「バラード第1番」のSPは4回転トーループの着氷が乱れながら、95・20点のシーズンベストで首位発進。連覇を狙ってフリー「オペラ座の怪人」に臨んだが、4回転サルコーが2回転となり、4回転トーループで転倒してスコアを伸ばせなかった。

 合計271・08点は、羽生と同じブライアン・オーサー・コーチに師事するハビエル・フェルナンデス(スペイン)の273・90点に及ばず銀メダル。チームメートの戴冠を祝う一方で「気持ちをうまく伝えきれないので『悔しい』というひと言に全てを託したい」と胸中を明かした。

 このシーズンは激突事故だけでなく、全日本選手権後には腹部を手術。練習再開後は右足首を捻挫するなど試練が続いたが、「いろんなことがあったシーズンは、僕の人生の中で生きてくる」と前向きにとらえていた。

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