大坂なおみ、日本勢最速の4大大会50勝!大逆転8強入りで“V率100%”

[ 2021年2月15日 05:30 ]

テニス全豪オープン第7日 ( 2021年2月14日    オーストラリア・メルボルンパーク )

全豪オープン、女子シングルスで8強入りを決め笑顔の大坂なおみ(AP)
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 女子シングルス4回戦で第3シードの大坂なおみ(23=日清食品)が昨年準Vで第14シードのガルビネ・ムグルサ(27=スペイン)に4―6、6―4、7―5で逆転勝ちした。最終セットは相手に2度のマッチポイントを握られながら、初優勝した19年以来2年ぶりの8強入り。日本女子歴代最多タイの全豪シングルス通算19勝目を挙げ、日本勢最速で4大大会通算50勝にも到達した。準々決勝では世界71位の謝淑薇(シャシュクビ、35=台湾)と対戦する。

 踏みとどまった。最終第3セット、3―5で迎えた自身サービスの第9ゲーム。15―40となり、大坂が崖っ縁に立たされた。「このゲームはまともなサーブが打てていない。サーブに集中しよう」。自らに言い聞かせ、時速191キロのサービスエースで30―40とすると、続くポイントは7度のラリーの末に奪取。ダブルマッチポイントをしのぎ、4連続ポイントで窮地を脱した。そこから4ゲームを連取。1時間55分の熱戦の末、4大大会2度の優勝を誇るムグルサを振り切った。

 荒療治で感情をコントロールした。第3セット第5ゲームでブレークポイントを握られると、大坂はラケットをコートに叩きつけた。結局ブレークを許し、自滅しかねない状況だったが「怒りでラケットを投げた時に、自分の感情を解き放つことができた」と迷いは消えた。粘りのテニスで逆転につなげ「1年前ならこの試合に勝てなかったかもしれない。精神的に強くなった」と強調。ミスを恐れずに鋭いコースに打ち合う好勝負を「一言で言うなら戦闘だった」と表現した。

 昨夏の全米前哨戦から続く連勝は18に伸びた。全豪通算勝利数19は杉山愛に並ぶ日本女子最多タイ。4大大会通算勝利数も節目の50に到達したが「全ての大会が新しいものなので、記録は意識していない。毎試合、違う相手、違う状況に直面する。全ての試合、全てのポイントで挑戦し続けたい」と記録へのこだわりはない。

 2年ぶりの8強入り。過去4大大会の準々決勝以降で一度も負けたことがなく、データ的にはV確率100%となったが「まだ4回目。後のラウンドにエネルギーを使う余裕はない」と一戦必勝を期した。12日には東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が辞任。大会開催にも影響しかねない迷走劇のさなかに、女性蔑視発言を「無知」と一蹴した大坂がテニスの魅力が凝縮された大逆転劇を演じたのは何かの巡り合わせか。TOKYOでのプレーを熱望するオピニオンリーダーが、スポーツの可能性を示した一戦でもあった。

 【64試合で到達】日本女子が4大大会シングルスで通算50勝をマークしたのは伊達公子、杉山愛に次いで3人目。50勝到達時の負け数は伊達26敗、杉山38敗で大坂14敗。つまり最速で50勝到達となった。男子では錦織圭だけが50勝に到達している。

 また、大坂は世界ランキング1位となった19年1月以降、同じく1位経験者との対戦は7度目で、通算5勝2敗。4大大会に限れば19年全仏2回戦と昨年の全米決勝で対戦したアザレンカ、今回のムグルサを下しており、3戦全勝と大舞台に強さを見せている。

 【次戦相手はくせ者】準々決勝で大坂が対戦する世界ランキング71位の謝淑薇は、トリッキーなショットを繰り出すくせ者だ。過去の対戦成績は大坂の4勝1敗だが、4試合はフルセット。優勝した19年全豪では3回戦で大苦戦を強いられている。

 大坂は「タフな試合になるのは間違いない。もしビデオゲームなら、私は彼女のキャラクターを選ぶ。予測できないプレーの選択をするから。彼女の試合を見るのはとても面白いけど、実際に試合をするのは楽しくない」と苦笑いした。

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