陵侑、W杯17度目V!「尊敬」葛西に並んだ日本人男子最多、1年2カ月ぶり歓喜に「長かった」

[ 2021年2月15日 02:30 ]

ノルディックスキーW杯ジャンプ個人第20戦 ( 2021年2月13日    ポーランド・ザコパネ ヒルサイズ=HS140メートル )

W杯ジャンプ男子個人第20戦で優勝した小林の飛躍
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 小林陵侑(24)が合計268・9点で今季初優勝し、葛西紀明(48=ともに土屋ホーム)に並ぶジャンプの日本男子最多のW杯通算17勝目を挙げた。1回目に136・5メートルを飛んで4位につけ、2回目に134・5メートルで逆転。2位と0・3点差の大接戦を制し、3季連続Vで来年の北京五輪に弾みをつけた。佐藤幸椰(25)は12位、佐藤慧一(23=ともに雪印メグミルク)は16位。中村直幹(24=東海大札幌ク)は28位だった。

 雪が舞う表彰式で、小林陵は誇らしそうに優勝トロフィーを掲げた。2季前にシーズン13勝を挙げた個人総合王者も、19年12月に葛西の記録にあと1つと迫ってから足踏みが続き、今季もピリッとしなかった。待望の1勝を「凄くうれしい」とかみしめた。

 12日の予選は23位。作山コーチが「予選では優勝を想像できないくらいだった。別人になった」と驚くほど、一晩で修正してみせた。空中へ飛び出す際に上半身を先に動かさず、下半身主導で立つことを意識して力強い踏み切りを取り戻した。

 1回目は「(踏み切りの)タイミングを外した」としながらも4位と好位置。優勝への欲を出さずに、2回目も「力まずに飛んだ」と自分の飛躍だけに集中し、距離を伸ばした。その後に飛んだ今季10勝のグラネル(ノルウェー)らが失速し、勝利が転がり込んだ。2位とわずか0・3点差、3位とも1・1点差という僅差の勝負。2回目の着地でテレマーク姿勢をきれいに決めたことが勝因の一つとなった。

 所属先で選手兼監督のレジェンド葛西が14年11月に17勝目を挙げた際は42歳だった。1年2カ月ぶりの歓喜で24歳にして並び「長かった」と息をついた。「(17勝目は)全く考えていなかった」と語ったが、思うところはある。「監督は監督で、その時その時のつらいこともあったと思う。やっぱり尊敬しますね」と感慨に浸った。

 日本から地震の一報が入り「1本目を飛ぶ前に(岩手の)実家に連絡した。大丈夫だったみたい」と小林陵。お返しとばかりに遠く離れた地から届けたのは最高の吉報だった。

 ▽ジャンプ男子個人第20戦 (1)小林陵侑(土屋ホーム)268・9点(136・5メートル、134・5メートル)(2)ステンカワ(ポーランド)268・6点(137メートル、133・5メートル)(3)リンビク(ノルウェー)267・8点(133メートル、141・5メートル=最長不倒)(12)佐藤幸椰(雪印メグミルク)250・7点(134メートル、128メートル)(16)佐藤慧一(雪印メグミルク)247・5点(128メートル、131・5メートル)(28)中村直幹(東海大札幌ク)232・2点(134メートル、122・5メートル)※小林陵は今季初、通算17勝目

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