【玉ノ井親方 視点】正代はいいところがなかった。大栄翔は尾を引く黒星ではない

[ 2021年1月20日 19:42 ]

大相撲初場所11日目 ( 2021年1月20日    両国国技館 )

<大相撲初場所11日目>隠岐の海(奥)の勇み足で勝利する正代(撮影・会津 智海)
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 ○正 代(勇み足)隠岐の海●

 ○阿武咲(突き落とし)大栄翔●

 負けられない一番で、正代が何とか勝ちを拾った。

 最初の取組は左が入って一気に前に出たが、懐が深く柔らかい隠岐の海に土俵際で右から突き落とされ、同体で取り直しになった。内容はあったものの、勝ちに結びつけられなかった。取り直しの一番は勝つには勝ったが、いいところが全くなかった。左が入ってすぐに投げを打ち、相手の体勢を崩そうとする。しかし、懐が深い隠岐の海に粘られ、逆に土俵際まで追い込まれてしまう。最後は左に振って土俵に倒れ込んだ。体勢は隠岐の海が優位に見えたが、勇み足で九死に一生を得た。

 もともと投げ技で勝つタイプではない。少々強引な投げも正代の持ち味といえば持ち味。ただ、大栄翔と2敗で並んだことで、体が少し硬くなってしまったのかもしれない。大栄翔と優勝争いをリードしているとはいえ、まだまだ不安な部分はある。上位との星のつぶし合いになるこれからは、さらに厳しい相撲が続くことになりそうだ。

 大栄翔は破れはしたものの、尾を引くような内容ではない。立ち合いの当たりでは、阿武咲を圧倒していた。腕もよく伸びて、右喉輪で押し込んだ。ただ、逆にその右手が伸びすぎて足が付いていかず、体が伸びきったところを突き落とされてしまった。見方を変えれば、今日は阿武咲の土俵際での反応の良さを褒めるべきかもしれない。

 2敗となった大栄翔だが、反対にこれで守るべきものがなくなり、気楽にいけるという面もある。カド番を脱した朝乃山も調子を取り戻しつつあり、優勝争いは今後どうなるか分からない。最終的に12勝3敗がラインになるのではないかと予想しているが、どうだろうか。

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2021年1月20日のニュース