サーフィン代表候補・前田マヒナ ハワイ出身22歳が“柔術トレ”でさらに波乗るしなやかボディーに
2020+1 DREAMS 東京五輪まで約半年
【THE STORY】サーフィンで東京五輪代表入りを目指す前田マヒナ(22)は、昨年11月のジャパンオープンを制し、世界最終予選となる今年5月のワールドゲームズ(WG=世界選手権に相当、エルサルバドル)出場権を獲得した。ハワイに滞在していた前田に大会開催の知らせが届いたのは、わずか1カ月前の10月。新型コロナウイルスで行動制限を強いられる中、ハンデを乗り越えた道のりに迫る。
他を寄せ付けない強さで、東京五輪への足がかりを築いた。昨年11月のジャパンオープン。前田は決勝までの5ヒート、全てでトップスコアを叩き出す圧巻の内容で完全優勝。残り1枠だったWG出場権を獲得した。
「最終日はエクセレントスコア(8点以上)を出せずに悔しかった。優勝したから、まあいいや、だけど」。終わったことは、気にしない。前向きな前田ならではだが、大会前は慌ただしく、もどかしい1カ月間だった。
五輪延期に伴い、無期限延期が決まっていたジャパンオープンの11月開催が決まったのは、10月のこと。4月以降、生まれ育ったハワイに活動拠点を置いていた前田にとって、寝耳に水だった。「コロナでいつ飛行機がキャンセルになるか分からない」と、知らせを受け、すぐに“帰国”の準備を整えた。
直行便が運航されておらず、米本土のサンフランシスコを経由して成田空港に到着。2週間の自主隔離は、以前から縁のあった神奈川県茅ケ崎市にあるサーフカフェ「K―Ohana’s」で過ごした。用意されたのは、同店オーナーの中村桂一郎さん宅の仏間。「外に出られないのはきつかった。ケガなら海に入れないだけで、外には出られるから」。カフェにはテラス席があり、閉店時間にトレーニングや気分転換で利用できないわけではない。それでも「見られてしまうのは良くない」と自重し、閉じこもった。
2週間、完全にサーフィンができない圧倒的ハンデ。それを克服し、圧勝できた要因の一つが、5、6年前から始めていた「ジナスティカ・ナチュラル」だ。ストレッチやヨガ、柔術の動きを取り入れたトレーニング法で、器具は一切使用しない。以前はウエートトレーニングを行っていたが、余計な筋肉が付くことで体が硬くなり、ケガが多かった。
「波の動きはアンプレディクタブル(予測不能)。ジナスティカは次の動きが何か分からない、ゲームみたいに楽しいトレーニング。動きはサーフィンにも合う」。講師として、Zoomを通じて世界中の生徒も指導する。教え子にはカナダの五輪スキーチームの選手もいるという。「2週間、海に入れなかったことは逆に良かった。凄くハングリーになれた」。仏間生活は海への渇望も引き出してくれた。
待機中には編み物も始めた。ネットフリックスだけでは空き時間をつぶせない。カフェの店員から道具をプレゼントされ、見事にハマった。最初に作った帽子は「穴だらけだった」と笑ったが、全てを忘れ、一つのことに没頭できる編み物は精神的な助けとなった。道具は一宮町にも持ち込み、大会中には時間つぶしでマフラーを編んだ。新たに得た趣味で、集中力を研ぎ澄ますことにも成功した。
この先どんな“波”が来ても、前田には動じずに対処する問題解決能力が備わっている。「現代の侍のように、オリンピックも戦いたい」。ハワイ生まれのハイブリッドサーファーは、武士の精神で来る五輪に備える。(阿部 令)
≪国内外に実力者多数≫サーフィンでは前田のように海外で生まれ育った実力者が少なくない。東京五輪代表の五十嵐カノア(木下グ)もその一人で、日本人の両親の元、米カリフォルニア州ハンティントンビーチで生まれ育ち、現在は日本人で唯一WSLチャンピオンシップツアーで活躍する。幼少期から日本よりも恵まれた練習環境に身を置くことで、自然に実力が磨かれるとされている。一方、WG代表の大原洋人や村上舜、松田詩野は日本で生まれ育ったサーファー。10代から国際大会に出て実力を磨く選手も多く、五輪では地の利も武器に海外勢を迎え撃つ。
◆前田 マヒナ(まえだ・まひな)1998年(平10)2月15日生まれ、米ハワイ・オアフ島ノースショア出身の22歳。4歳でサーフィンを始め、5歳で大会初出場。13、14年に世界ジュニア選手権で優勝。14年にはプロリーグのWSLでもジュニアタイトルを獲得。19年に日本サーフィン連盟の強化指定を受け、日本代表を選択。家族は日本人の両親と姉。ミドルネームは「穂乃香」。1メートル62、62キロ。
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