NBAがワクチン接種計画に着手 北米4大スポーツでは初 陣頭指揮はオバマ前大統領?

[ 2020年12月11日 08:45 ]

NBAワクチン実施計画のリーダーに白羽の矢が向けられているバラク・オバマ前大統領(AP)
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 NBAのアダム・シルバー・コミッショナー(58)とそのスタッフがチームと選手の代理人らと連携して、全選手とコーチ陣を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種計画に着手したことが明らかになった。

 スポーツ専門局のESPNが10日に報じたもので、ワクチン接種に関して組織全体で動き出したのは北米4大プロスポーツの中でNBAが初めて。NBAでは昨夏、フロリダ州オーランドで一括開催(バブル方式)でシーズンを再開させたときには事前にチーム、選手、そして代理人に医学的根拠を細部にわたって説明しており、ワクチン接種に関してもまず入念な「教育プログラム」からスタートさせると伝えられている。

 ワクチン接種にはまだ懐疑的な選手もいるために、ある有力選手を抱える代理人は「啓蒙活動に関してはリーグ外部の信頼できる人間に任せるべき」としてバラク・オバマ前大統領(59)をその候補に挙げており、今後の人選が注目されるところ。ウォールストリート・ジャーナル紙は「プロスポーツ選手への早期接種はワクチンの効能と安全性をアピールできるため、保健当局もサポートしている」と報じており、NBAがその“先駆け”になる可能が出てきた。

 ただし課題は山積み。オーランドでの「バブル」では1人の感染者も出なかったが、オフに入ってからは実態が不明。しかもキャンプイン直前の検査(11月24日~12月1日)で48人、12月2日以降の検査で8人の感染が判明しており、ウイルスへの抗体を持った可能性がある選手への対応も求められている。

 NBAでは医療従事者と長期療養施設の入居者への優先接種を見守る方針。そのあとチームもしくは個人でワクチンを接種することは禁止しない意向を示している。しかし選手やコーチ全員を納得させて、組織全体の足並みをそろえるには信頼される第三者の“リーダー”の存在が不可欠。米製薬大手、ファイザー社のワクチンは1回の投与でも効果があるとされているが、原則的には3週間の間隔をあけて1人につき2回の接種が必要で手続きも煩雑になるため、NBAが進める「ワクチン実施計画」には卓越したリーダーシップと細かい配慮が求められるだろう。

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