五輪は「見せる」優先に TV中継映えしない伝統競技軽視の風潮は残念

[ 2020年12月9日 05:30 ]

IOC理事会追加競技承認

パリ五輪で採用が決まったブレイクダンス。キレのある演技を見せる河合来夢
Photo By 提供写真

 【記者の目】「コロナ時代」にふさわしい五輪の実施形態とは言える。簡素化とコスト削減が求められる状況で新たな競技場建設などが必要な競技は好まれず、対照的にスケートボードやスポーツクライミング、新採用のブレイクダンスなど「都市型スポーツ」は施設が仮設で済むなど準備が比較的容易だ。若者のスポーツ離れはテレビ視聴率の低下につながる恐れもあり、五輪ムーブメント維持へ米テレビ局からの放送権料が何よりも重要なIOCが若者を重視する方向へかじを切るのは当然だろう。

 ただし“魅せるスポーツ”がもてはやされ、テレビ中継向きではないとの理由で伝統競技が軽視される風潮はもどかしい。これらの競技はおしなべて組織改革が進んでいないが、IOCのご機嫌をうかがうような新種目の創設やルール変更に走る国際競技団体の姿勢にも疑問を感じる。五輪のモットーは「より速く、より高く、より強く」。原点を忘れてはならない。(スポーツ部専門委員・中出 健太郎)

続きを表示

2020年12月9日のニュース