【玉ノ井親方 視点】動きよく見ていた貴景勝 優勝へ気を抜かないことが大事

[ 2020年11月18日 20:34 ]

大相撲11月場所11日目   ○貴景勝 突き落とし 琴勝峰● ( 2020年10月18日    東京・両国国技館 )

<大相撲11月場所11日目>琴勝峰(左)を突き落としで破る貴景勝(撮影・会津 智海)
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 貴景勝は琴勝峰の動きをよく見て取った。立ち合いは五分。その後、少し押し込まれたものの、相手が前掛かりになったところをタイミング良く左から突き落とした。

 この一番は優勝経験者の大関が初顔の新鋭を相手に、馬力で圧倒できなかったという見方もできるかもしれないが、土俵際の逆転を警戒して、よく考えた相撲を取ったといえる。

 ただ、今場所を振り返ると鋭く前に出る相撲が少ない気がする。立ち合いで当たった後に、ガンガン前に出る流れになっていない。土俵際までは行くものの、そこからの詰めの一歩、二歩が出ない感じだ。

 ただ、そうは言っても、もう11日目。優勝経験のある実力者の御嶽海や照ノ富士との対戦も、まだ残っている。少しでも自分本来の相撲を取り切れるように、気を抜かずに集中していくことが大事だ。優勝争いは13日目以降が勝負。まだどうなるか、全く分からない。

 一方、琴勝峰は敗れはしたものの、立ち合いで大関に当たり負けしていなかった。それどころか、逆に押し返す場面もあった。

 安易な引き技で楽に勝とうとせずに、前に出る相撲に徹して、大関を相手にまわしに手がかかるようになれば、面白い相撲を取れるようになる。相手がどんな相撲を取ってきそうだとか、考える必要はない。まずは自分の相撲を取り切ることに、意識を集中することだ。そうすれば、楽しみな存在になっていく。(元大関・栃東)

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2020年11月18日のニュース