“31歳苦労人”志摩ノ海、Go To 幕尻V!3度目の下克上へステイ1敗

[ 2020年11月18日 05:30 ]

大相撲11月場所   10日目 ( 2020年11月17日    両国国技館 )

千代の国(左)と組み合う志摩ノ海(撮影・河野 光希)
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 二度あることは三度ある――。幕尻の志摩ノ海が2敗の平幕・千代の国に完勝し、優勝争いトップの1敗をキープ。今年初場所の徳勝龍、7月場所の照ノ富士に続き、20年最後の場所も幕尻優勝がにわかに現実味を帯びてきた。大関・貴景勝も1敗を守り、2敗は小結・照ノ富士、平幕の宝富士、竜電の3人となった。

 太い眉と大きな黒目が純朴な人柄をしのばせる。志摩ノ海は出番後のリモート取材も丁寧な言葉遣いで無邪気に喜ぶ場面は少ない。優勝争いトップを走る状況にも「何も考えていません。考えたらダメなので」。師匠・木瀬親方(元幕内・肥後ノ海)に心酔し、その教えを取組で実践できたかどうかに重きを置く。この日の千代の国戦は、前夜授けられた“相手が突っ張ってくるから絶対に頭を上げるな”という忠告を着実に遂行。頭で当たって立ち合いから圧力をかけ続け、相手の引きに乗じて攻め抜いた。

 12年夏場所の初土俵から7年かけ、29歳の19年夏場所で新入幕した苦労人だ。名門の明徳義塾、近大出身だが、関取目前の西幕下4枚目だった13年名古屋場所で左膝前十字じん帯断裂の大ケガに見舞われた。この場所も含め6場所連続休場。一時は序ノ口まで番付を落とした。だが、師匠をはじめ周囲の励ましをよりどころに押し相撲を磨き、幕内まではい上がった。

 白鵬、鶴竜の両横綱不在が多い今年は波乱続き。昨年まで00年春場所の貴闘力のみだった幕尻優勝が初場所、7月場所で実現した。一年納めの場所も下克上の可能性はある。

 はなむけの優勝となれば最高だ。明徳義塾の先輩で元大関の琴奨菊が今場所8日目の15日に引退した。「昔から大活躍された方。尊敬のまなざしで見ていた」。満身創痍(そうい)の先輩は左膝にも故障を抱え、巡業中など所属部屋の垣根を越え、体のケアの仕方などを助言してくれた。琴奨菊は16年初場所、31歳で初優勝を飾った。同じ31歳の志摩ノ海は「無心でいけ!」という師匠の言葉を胸に愚直に前へ出る相撲を貫く。 

 ◆志摩ノ海 航洋(しまのうみ・こうよう、本名・浜口航洋)1989年(平元)7月11日生まれ、三重県志摩市出身の31歳。木瀬部屋。小3で相撲を始め明徳義塾(高知)―近大。12年夏場所初土俵で新十両は16年名古屋場所。新入幕の19年夏場所は10勝5敗で敢闘賞受賞。それ以降は2桁勝利なし。得意は突き押し。1メートル79、160キロ。

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