スポクラ男子五輪代表・楢崎智亜 貫禄の予選トップ通過 新様式でも“頂”つかむ!

[ 2020年8月10日 05:30 ]

リード・ジャパンカップ第1日 ( 2020年8月9日    岩手県営スポーツクライミング競技場 )

ロープをくわえながら登る楢崎智(撮影・小海途 良幹)
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 来夏の東京五輪代表に決まっている男子の楢崎智亜(24=TEAM au)が、予選首位で10日の準決勝に進出した。Aルートで1位タイの高度を稼ぐとBルートはただ1人、完登する貫禄の登りを披露。新型コロナウイルスの影響がなければ東京五輪閉会式だった日に、1年延期となった夢舞台へ再スタートを切った。

 観客の声援も、場内を盛り上げる音楽もない。いつもと違う環境に加え、雨に伴う湿気で滑りやすい悪コンディションでも、楢崎智が貫禄を見せた。新型コロナウイルスの影響で大会が延期や中止となり、2月のスピード・ジャパンカップ以来、半年ぶりの実戦。前夜から「ワクワクして待っていた」と言う24歳は、「ほんと楽しかった」と笑った。

 同じ所属で女子の五輪代表・野口啓代(31)の実家に今春、スピード、ボルダリング、リードと3種の壁が完成。コロナ禍による自粛期間中もトレーニングを積めた。持久力が問われるリードでは、登っている最中にいかに効率良く休憩するかが重要。「リラックスするところで、より脱力できるよう練習してきた」。Bルートを唯一、完登して確かな手応えをつかんだ。

 感染防止のため、無観客に加え、通常は大会側が用意するロープは競技中、頻繁に口にくわえることから各選手が持参するなど新様式での開催だが、動じない。「前までの自分ならストレスになっていたかなと思うけど、自粛期間に自分を見つめる時間が増えて、受け入れられるようになった」。タフなメンタルも楢崎智を支える。

 5月に緊急事態宣言が解除されて以降、五輪競技で日本一を争う大会は初めて。本来なら東京五輪の閉会式だったこの日、来夏へ再スタートを切った。19年世界選手権で五輪種目の複合を制したが、向上心は尽きない。「(リードを)強化しないといけないと思っているので、勝って自信をつけたい」。タイトルを獲得し、描く理想へ突き進む。

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