【玉ノ井親方 視点】動かれて上体起きた白鵬、大栄翔がうまくスキ突いた 分からなくなったV争い

[ 2020年7月29日 20:01 ]

大相撲7月場所11日目 ( 2020年7月29日    両国国技館 )

<大相撲7月場所 11日目>押し出しで大栄翔に敗れた白鵬(左)(撮影・西海健太郎)
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 白鵬は突き押し相撲の相手に、苦戦するケースがある。大栄翔戦も立ち合いで当たって右を差しにいったが、自分の形をつくれなかった。横に動かれ、いなされて、相手をつかまえることができない。逆に自分からいなそうとして、タイミングがずれて足がバタバタする場面もあった。最後は大栄翔に後ろに回り込まれ、押し出されてしまった。

 まわしを取れず、焦ったというか、攻め急いでしまったようだ。見方を変えればそれだけ、大栄翔がよく研究して、理詰めの相撲を取ったとも言える。横綱はまわしを取って、相手の動きを止めれば万全の構えになるが、横に動かれたり、いなされたり、動き続けられると上体が起きてくる。大栄翔はそこをうまく突いた。

 立ち合いの踏み込みもいいし、スピードも速い横綱だが、相手の嫌がる方向に自分から動いていけば、付け入るスキは出てくる。他の力士もぜひこういう相撲を取ってほしい。

 白鵬が敗れ再びトップ並んだ朝乃山は、いい相撲を取った。前日、御嶽海に敗れ連勝がストップし、いい意味でリラックスできたのではないか。これで平行線になったわけだから、12日目からの一番一番が大事になってくる。横綱はまだ御嶽海、正代、朝乃山、貴景勝戦を残している。優勝争いは全く分からなくなってきた。(元大関・栃東)

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2020年7月29日のニュース