東京五輪開催は来春判断 組織委の遠藤副会長が言及 IOC・コーツ調整委員長の「10月」発言打ち消す形

[ 2020年6月6日 05:30 ]

遠藤利明・東京2020組織委員会会長代行
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 東京五輪・パラリンピック組織委員会副会長の遠藤利明元五輪相は5日、新型コロナウイルスの影響で1年延期となった東京大会の開催可否について、来春が判断の時期になるとの考えを示した。本部長を務める自民党の2020年五輪・パラリンピック東京大会実施本部の会合に出席。「来年3月ぐらいに代表選手が選考されているかどうか。これも一つの大きな課題だ。その時の状況を見て、組織委もいろんな形で判断していかなければならない」と述べた。

 組織委員会の幹部が開催可否の判断時期について言及するのは初めて。5月に国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ調整委員長が地元オーストラリア紙に対し、10月が開催可否を判断する重要な時期になるとの見解を示しており、遠藤氏の発言は判断時期が秋との見方を打ち消した形になる。IOCのバッハ会長は、来年開催できない場合は再延期はなく、大会中止との見通しを示している。

 遠藤氏は会合後、「来年夏の新型コロナの状況がどうなっているかは、まだまだ不透明かつさまざまな観測が存在する。開催可否を論ずるのはまだまだ早い。来年3月ぐらいにきちっと判断しないといけない」と語った。コーツ調整委員長の見解には「IOCにも照会したが、そのような開催判断のデッドラインはないと確認している」と強調した。

 遠藤氏はまた、政府が観客の削減など簡素化の検討を始めたことには「プラスとマイナスがある」とし、「まずはコロナ対策をしっかりやり、安心安全な形で大会を運営したい」との姿勢を示した。

 ▽コーツ調整委員長の見解 地元紙オーストラリアンの発行元の会議で発言した内容を5月21日に同紙が掲載。3月の五輪延期決定が遅れたことを悔やみ、「東京五輪は21年にのみ開催される。再延期はできない」と主張。開催可否の検討は10月が重要なタイミングになるとの見解を示した。組織委の武藤敏郎事務総長は、本人に確認した上で「大会開催に当たってどのような配慮や対策が必要なのか議論されるタイミングが来る。それが個人的見解として10月だろうということ」と説明した。

 《政府、開閉会式の簡素化検討》東京五輪・パラリンピックを巡り、政府がまとめた大会方式の見直しに関する論点整理の全容が分かった。選手や観客へのウイルス検査実施など医療対策の重要性を指摘し、開閉会式の簡素化、観客の削減なども検討項目に挙がっている。開閉会式では密集を避けるため入場行進の省略・簡素化などを案として示したが、入場行進は開会式の重要なパートを占めるとの指摘があり、五輪だけで既に約448万枚のチケットが発売済みの観客の削減などとともに、実現のハードルは高そうだ。

 《延期費用の補償を検討中》国際オリンピック委員会(IOC)のピエール・デュクレ五輪運営責任者は4日、東京五輪延期に伴う補償について保険会社と協議中と明かした。「延期費用の負担に適切なレベルの補償を見つけたい」としている。IOCは延期に伴う費用のうち大会運営費として6億5000万ドル(約708億5000万円)の負担を決めている。デュクレ氏はまた、五輪再延期は選手村を活用するマンションの購入者に対する補償発生が問題点と指摘した。

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