北の湖 満身創痍でつかんだ14場所ぶり賜杯 6場所連続休場など限界説吹き飛ばし「長かった」

[ 2020年6月6日 05:00 ]

夏場所メモリー   北の湖(西横綱) 寄り切り 千代の富士(東張横綱) ( 1984年5月18日 )

千代の富士(右)を寄り切る北の湖
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 北の湖は立ち合いで左を差すと右もこじ入れた。もろ差しで胸を合わせ、千代の富士を寄り切った。初日から無傷の13連勝とすると、直後の土俵で弟弟子の大関・北天佑が横綱・隆の里を破った。14場所ぶり24回目の優勝が決定。勝ち残りの北の湖は、土俵上でニヤリとした弟弟子に笑みを返した。

 憎らしいほどの強さを誇った横綱も、膝、腰、足首などの負傷により6場所連続休場を強いられ、2場所前は8勝にとどまった。限界説がささやかれていた中での優勝。「長かった。13日目の優勝は初めてだから、なおさらうれしい。でも泣いたら緊張の糸が切れてしまう」。土俵上のふてぶてしい態度で憎まれ役だった男は、過去の優勝とは違う喜びを感じていた。

 優勝を決めたあとも白星を重ね、自身7度目の全勝で終えた。昭和を彩った大横綱にとって、これが最後の優勝となった。満身創痍(そうい)の状態で横綱らしい戦いを続けることはできなかった。4場所後の85年初場所、こけら落としの両国国技館で、10年以上綱を張った横綱は現役を退いた。

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2020年6月6日のニュース