前田30キロぶっちぎり、日本記録も更新 アテネ金・野口みずきも超えた! 武富監督「100点満点」

[ 2020年2月17日 05:30 ]

青梅マラソン ( 2020年2月16日    青梅市東青梅4丁目―青梅市総合体育館前 )

30キロの部の女子で、日本新記録をマークして優勝した前田
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 東京五輪代表に内定している前田穂南(23=天満屋)が女子30キロで日本新記録となる1時間38分35秒で優勝を飾った。04年アテネ五輪金メダルの野口みずきさんが05年ベルリンマラソンの30キロ通過地点でマークした従来の日本記録1時間38分49秒を14秒更新。野口さんがアテネイヤーに勝った験のいいレースを制し“金メダルロード”を加速する。

 前田が雨上がりの青梅路をぶっちぎった。号砲から独り旅。上りの険しい序盤の10キロを5キロ16分18秒のラップを刻んでリズムをつくった。後半もペースを落とさず、2位に7分44秒の差をつけて1時間38分35秒でフィニッシュ。「記録は狙っていた。アップダウンのあるコースできつかったけど、流れに乗って走れた」と喜びをかみしめた。

 “野口ロード”が見えてきた。大会記録だった1時間39分9秒は、野口さんが金メダルを獲得したアテネ五輪イヤーの04年にマークした当時の日本記録だった。今大会は天満屋の武富豊監督(66)が野口さんのスピードを体感させるためエントリー。レース前には当時のラップを前田に見せ、記録更新を意識づけた。結果的に大会新だけでなく、日本記録も14秒更新。野口さんとシンクロするような結果に、指揮官は「この大会は一つのポイント。100点満点」と評価し、前田も「いいモチベーションになる」とうなずいた。

 ケガの功名もあった。先月12日の都道府県対抗駅伝後に米国アルバカーキでの高地合宿を再開。だが、中旬に右くるぶしを負傷し、1週間ほど疲労を抜く練習に切り替えた。勤勉な性格ゆえに追い込みすぎるが、軽いメニューで体重は2キロほど増え、調子が上向いた。「(試合への)体調の持っていき方をつかめた」と指揮官は思わぬ収穫も口にした。

 2時間20分切りで東京五輪での頂点を狙う前田は、野口さん以上のスピードという武器を証明した。「東京五輪の金メダルに向けて頑張りたい」。常々語る目標が、現実味を帯びてきた。

 ◆前田 穂南(まえだ・ほなみ)1996年(平8)7月17日生まれ、兵庫県尼崎市出身の23歳。小学校ではバスケットに取り組み、園田東中から陸上部。強豪の大阪薫英女学院3年時は全国高校駅伝初優勝も補欠。高校卒業後の15年に天満屋入社。17年1月の大阪国際でマラソンデビュー。自己ベストは18年大阪国際の2時間23分48秒。昨年9月のマラソングランドチャンピオンシップを2時間25分15秒で制し、東京五輪代表に内定。1メートル66、46キロ。

 ≪「まず練習」今後のレースは未定≫前田にとって今大会は、現段階での仕上がりを見極める意味合いが強かった。ピークを合わせて最高の結果を叩き出し、武富監督は「予想外。よく頑張った」と語る。今後については「細かいレースは考えていない。まずは練習」と監督は話し、現時点で東京五輪前に出場するレースは未定。状態を見定めながらハーフマラソンなどの出場を検討していくという。

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