桐蔭学園“松島先輩超え”初の単独V!高校3冠!導いたSO伊藤主将、早大から日の丸ロードへ

[ 2020年1月8日 05:30 ]

第99回全国高校ラグビー大会 決勝   桐蔭学園23―14御所実 ( 2020年1月7日    大阪府東大阪市・花園ラグビー場 )

<御所実・桐蔭学園>優勝を決め、歓喜の桐蔭学園フィフティーン(撮影・北條 貴史)
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 桐蔭学園(神奈川)が悲願の単独優勝を飾り、令和初の高校王者となった。前半で御所実(奈良)に14点のリードを許しながらも後半に3トライを挙げて23―14と逆転勝ち。東福岡(福岡)と両校優勝だった10年度以来9大会ぶり2度目、単独初の優勝で、昨春の全国選抜大会、昨年7月の全国7人制大会と合わせて高校3冠を達成した。東日本勢の単独優勝は97年度の国学院久我山(東京)以来22大会ぶり。御所実は4度目の決勝進出でも準優勝に終わった。

 3―14で迎えたハーフタイム。ロッカーへ戻ったSO伊藤主将は明るくメンバーに告げた。「今日は負け試合だぞ」。前半4分に御所実の十八番・モールで今大会初めて先制を許すなど、自陣でのミスから2トライを許す展開。だが、主将の一言で硬かったチームメートの表情が緩むと背番号10は続けた。「後半、普通にやれば勝てる。1対1で負けないように勝負しよう」。雨天用のキック合戦で優位に立てず、我慢を強いられていた選手たちが奮い立った。

 後半開始早々、激しいプレッシャーを受けながら伊藤がカウンターで突破。勢いづいたチームは本来の攻撃ラグビーに転じ、花園で2戦2敗だった相手を圧倒した。伊藤は10―14の後半16分にも自陣10メートルラインからカウンター。軽やかなステップで対面を転がして敵陣22メートルまで走り、FB秋浜の逆転トライを生んだ。持ち味のランを決勝で“解禁”したのは「作戦どおりと言えば作戦どおり」。藤原秀之監督も「4試合ためていたので、どこかで使ってくれると思っていた」と称えた。

 父・英司さんが大体大OBで、兄・拓海さんは長崎南山で花園出場、姉・優希は7人制女子日本代表というラグビー一家。伊藤も中学時代から全国大会で活躍したが、地元の強豪・東福岡には進まなかった。中学3年夏、長野・菅平で目撃した桐蔭学園の速いテンポのラグビーに「日本代表みたい」と心を奪われて進学。松島幸太朗(サントリー)ら過去3人しかいない1年生レギュラーに抜てきされ、CTBやFBで花園の土を踏んだ。しかし、高校生らしからぬ判断力とプレーの実行力を藤原監督に買われ、今季からSOに転向。前回決勝で敗れてから自分やチームの課題をノートに書き留めて成長につなげ、松島もできなかった単独優勝を実現した。「出会った時に日本を背負って立つ10番になると思った。いずれ大きい舞台で活躍する人間と改めて思った」。指揮官は最大級の賛辞を贈った。

 今春に早大へ進学する。「夢は日本代表。個人的にレベルアップしたい」。20―14の後半27分、トドメのDGを決めた。ノーサイドの瞬間もちょっと笑うと、すぐに整列へ向かった。どんな時でも次を見据えていた。

 ◆伊藤 大祐(いとう・だいすけ)2001年(平13)7月15日生まれ、福岡県久留米市出身の18歳。小学時代はりんどうヤングラガーズでプレーする一方、柔道で九州王者に。福岡・諏訪中では筑紫丘RCジュニアに所属した。高校日本代表候補。今春に早大へ進学予定。1メートル79、84キロ。50メートル6秒2。目標とする選手はスコットランド代表CTBのヒュー・ジョーンズ。

 ▽私立桐蔭学園高校 1964年(昭39)創立。所在地は神奈川県横浜市青葉区。18年度から男女共学となり、生徒数は男子2020人、女子1290人。創立と同時にラグビー部も創設され、花園は第76回大会(96年度)に初出場。今回で5大会連続18度目の出場。優勝2回、準優勝5回、4強5回。主なOBに松島幸太朗、堀越康介(以上サントリー)、小倉順平(NTTコム)ら。サッカー部、硬式野球部も全国レベル。

 ▽桐蔭学園主な3年生の進路 床田淳貴(明大)、岡広将(慶大)、安達航洋(東京学芸大)、久松春陽大(中大)、石塚勝己(明大)、亀井健人(青学大)、伊藤大祐(早大)、飯塚稜介(専大)、桑田敬士郎(青学大)、渡辺誠人(ワイカト大志望)、西川賢哉(明大)、真利香之輔(東海大)、武田烈輝(中大)、平石颯(進学希望)、渡部創太郎(法大)、島本陽太(早大)、樋口豪(慶大)、天羽秀太(立大)

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