青学大 箱根V一夜明け 原監督、駅伝の超高速時代対応へ指導法「青山メソッド」アップデート

[ 2020年1月5日 05:30 ]

視線は早くも来季へ!!箱根駅伝優勝から一夜明け、笑顔でポーズをとる原監督ら青学大のメンバー(撮影・小海途 良幹)
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 箱根駅伝で2年ぶり5度目の総合優勝を飾った青学大の原晋監督(52)が一夜明けた4日、都内で取材に応じ、超高速レースに打ち勝つために大学駅伝3冠や4連覇などに導いた独自の指導法「青山メソッド」のバージョンアップに着手することを明かした。これまでの定石が通用しないスピード駅伝に対応するため練習設定タイムの向上が急務。再び連勝街道に乗せるために指揮官の頭脳は休みなくフル回転する。

 指揮官自身が掲げた「やっぱり大作戦」を完遂して勝ち取った2年ぶりの優勝。その余韻も冷めやらぬ中、早朝からのテレビ生出演や取材をこなした原監督にはさすがに疲れの色も見えた。「今回はうれしさのあまり“やっぱり”飲み過ぎました…エネルギー切れです」と苦笑いしたが、来季の話になると目の色を変えた。

 青学大の底力を見せつけて優勝したが、進化は止めない。今大会は青学大、東海大の2校が大会記録を更新し、来年のシード10校全てが11時間以内でゴール。8位の駒大ですら前回大会なら3位相当で、全10区間のうち7区間で区間新記録が誕生した。「超高速駅伝」時代に突入した現状に、原監督は「これまでの常識を覆さないといけないですね」と逆に危機感を強くした。

 「青山メソッド」も新学期から改訂版が発行されそうだ。これまで1キロ3分というペースが目安だったが「練習段階の設定タイムを見直す必要がある。2分50秒ペースで走れるようにしないといけない」と練習強度を高めることを示唆。青山メソッドの目標値や目標タイムも高速に対応できるものにしていくという。

 スピードランナーの育成法もアップデートできそうだ。2年前の優勝時にトラックの1500メートルなどの中距離選手育成を視野に入れ、距離の短い出雲駅伝に向けて強化する「出雲プロジェクト」を立ち上げた。今大会では、中距離が主戦場だった谷野航平(4年)が6区で区間記録に21秒に迫る好走で逃げ切りの足掛かりをつくるなどプロジェクトから好選手を送り出した。

 中距離選手の活躍の場として6区を重視する原監督。今回、谷野が20キロを走ったことで「1500メートルランナーが十分山下りができることを証明した。中距離の生かし方を青山メソッドに加えることができた」と新たな勝利の方程式で連覇に挑む。

 ≪厚底シューズの影響「よく分からない」≫高速駅伝に一役買ったのが、ナイキの厚底シューズ。アディダスと契約している青学大も今大会は解禁し、10人全員が着用。4区吉田祐、5区飯田が区間新記録をマークするなど各区間で好記録が続出した。シューズの影響について原監督は「(好記録が)靴なのかはよく分からない」と言葉を濁したが、表彰式では、選手全員がしっかりとアディダスのシューズを履くなど“大人の対応”も見せた。

 ▽第96回箱根駅伝 青学大は1区で7位と出遅れたが、続く岸本(1年)が2区の日本人1年生新記録の快走で首位に浮上。3区は東京国際大に一時トップを譲ったが、4区で吉田祐(4年)が区間新記録をマークして首位を奪い返すと、往路新記録でゴールした。復路は優勝候補の東海大に一時は2分差まで詰め寄られたが、大崩れせずにつなぎ、9区神林(3年)が区間賞の走りで3分以上の差をつけて優勝を決定づけた。復路2位ながら、総合10時間45分23秒の大会新記録で2年ぶり5度目の制覇=写真、代表撮影。今大会は全10区間のうち7区間で区間記録が塗り替えられる超高速駅伝だった。

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