データで見る八村の第23戦 ついに新人部門のリバウンド王 ロッドマンの後継者?

[ 2019年12月11日 12:33 ]

同じ新人のワシントンJRをマークするウィザーズの八村(AP)
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 ウィザーズの八村塁(21)は10日のホーネッツ戦で自己最多となる12リバウンドを記録。今季23試合での平均は6・0本となり、ゴンザガ大のチームメートでドラフト全体21番目にグリズリーズに指名されたブランドン・クラーク(23=5・9)を抜いて新人のリバウンド部門ではトップに立った。

 しかも12本中4本がオフェンスでのリバウンドでこれも1試合では自己最多。新人選手で最も多くのオフェンス・リバウンド総数を稼いでいたのは、ドラフト2巡目(全体41番目)にウォリアーズに指名されたエリック・パスカル(23=24試合)の35本だったが、八村は出場が1試合少ない段階で38本となってこれも新人のトップとなった。またフリースローの成功率(86・3%)も1位。現時点で八村は新人の個人成績部門で「陰の三冠王」?となっている。

 4本のオフェンス・リバウンドはいずれも後半にマークしたものだがいずれも状況は違っていた。第3Qの5分47秒はゴール下で自分が外したシュートをティップして成功した際に記録。その2分58秒後には、ダビス・バターンズ(27)が外した3点シュートに反応し、床に落ちてルーズボールとなったところをキープした。

 第4Qの7分53秒にはバターンズがあまり得意とは言えないドライブインから放ったシュートを外したときに、うまくゴール下の“空きスペース”にもぐりこんでこぼれ球を確保。その37秒後、今度はブラドリー・ビール(26)が3点シュートを外したが、ボールがリング手前に当たって大きく跳ね返ったところに瞬時に右手を出してセカンド・チャンスにつなげた。

 ゴンザガ大時代の昨季、37試合に出場した八村の平均リバウンド数は6・5本で、そのうちオフェンス・リバウンドは1・4本。全体に占める割合は21・5%だった。ところがドラフト全体9番目で入団したウィザーズでは平均こそ6・0本だが、オフェンス・リバウンド本数の比率は27・3%と大学時代より増えた。元チームメートでリバウンドとブロックショットを得意にしているクラークのオフェンス・リバウンド比率は昨季の36・0%から22・6%にダウンしており、この部分で数字を伸ばしているあたりに八村の“本気度”がうかがえる。

 なぜなら相手をボックスアウトしていればキープできる確率が高いディフェンス・リバウンドに対し、オフェンス・リバウンドは本人に明確な「取りに行ってやる」という強い意志がないと成立しないからだ。長身センターならそれはさほど重労働ではないが、203センチの八村がこの部門で成績を伸ばそうとするならばよりアグレッシブにならないと不可能。オフェンス・リバウンドへのトライは記録につながらない「報われないケース」が多く、スタミナも消耗するだけに、メンタルでもフィジカルでも骨が折れるやっかいなプレーのひとつだ。

 NBAには八村のようにビッグサイズではないものの、リバウンド王に7回輝いた名選手がいる。それが198センチだったデニス・ロッドマン(元ピストンズ、スパーズ、ブルズ)。彼のニックネームは「WORM(ミミズ)」だったのだが、あるとき試合を取材していた私はその異名に「なるほどね」納得したことがある。

 ロッドマンはゴール下でボックスアウトされると、あえてフィジカル面では争わない。しかし空いている隙間に巧みに体を滑り込ませ、ピョンピョンと何度も飛び跳ねながら宙に浮いているボールをある時は指1本だけで徐々に自分の体に引き寄せていく。そのクネクネとした体の動きはまさに「WORM」だった。

 ホーネッツ戦ではまだ指1本でボールを手繰り寄せるという場面はなかったが、バターンズの外したゴール下でのシュートを拾ったときに八村が見せた空きスペースへの的確な侵入経路は、かつてロッドマンが何度も何度も繰り返していたオフェンス・リバウンドの基本をほうふつさせるものだった。

 ロッドマンのリバウンド総数に対するオフェンス・リバウンドの比率は驚異的とも言える36・2%。“師匠”の残した成績はまだはるか彼方にあるが、ぜひここを目指して突き進んでほしい。そんな期待が持てるホーネッツ戦での奮闘だった。(高柳 昌弥)

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