データで見る八村の第19戦 30得点以上マークした新人の次戦で何が起こっているのか?

[ 2019年12月4日 12:14 ]

マジックのフォーニエーをゴール下でマークする八村(AP)
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 NBAでは試合途中でガード中心の「スモール・ラインアップ」に切り替えるケースがよくあるが、ティップオフの時点で203センチの選手がセンター・スポットに入るという試合はあまり見られない。1970年代にセルティクスで活躍したデーブ・コーウェンスが「ビッグマンではない先発センター」として歴史に名を刻んでいるが、それでも彼の身長は206センチだった。

 きょうに限って言えば、八村にとって得点をどれくらい稼ごうとか、どんな攻め方をしようか、といったオフェンス面での思考の組み立て方はなかったかもしれない。なにしろマッチアップしたのは206センチのヘム・バーチ(27)、211センチのジョナサン・アイザック(22)、そしてショットブロッカーとして定評のある213センチのモー・バンバ(21)らほとんどがセンター役を務めることができる長身選手。オフェンスよりもディフェンスに比重を置かざるをえない試合だったと思う。

 その中で自己最長の39分というプレータイムで15得点。3本放った3点シュートはいずれもリングに嫌われたが、初体験のセンター・プレーヤーとしては健闘したと言っていいだろう。1日のクリッパーズ戦では38分の出場で自己最多の30得点を記録しているのでスコアが“半減”したのは事実だが、この2試合では置かれた状況が全く違う。ディフェンス志向がここまで強くなければ得点はもう少し伸びていたはずだ。

 今季のNBAでルーキーが30得点以上を記録したのは八村を含めて計4回。そのうち2回は、ドラフト2巡目指名(全体41番目)ながらウィザーズ同様に故障者の多いウォリアーズで先発フォワードとして起用されているエリック・パスカル(23)がマークしている。ただし34得点をマークした次の試合では19得点、30得点の次は17得点といずれもダウン。新人の情報は昨季までの積み重ねがないので対戦するチームには随時、最新データが供給されるので、前の試合で30得点を挙げているルーキーは確実にきついマークを受ける。

 ドラフト全体2番目で指名されたグリズリーズのガード、ジャー・モラント(20)は10月27日のネッツ戦で30得点をたたき出したが、次戦となった10月29日のレイカーズ戦では16得点。30得点には「1」届かなかったが、全体13番目指名のタイラー・ヒーロ(19=ヒート)も10月29日のホークス戦で29得点を記録したあと、同一カードとなった10月31日の試合では17得点にとどまった。

 今季2試合連続で25得点以上をマークしているのは7番目指名のガード、コービー・ホワイト(19=ブルズ)だけ。しかし彼は今季自己最多の28得点を稼いだ11月23日のホーネッツ戦のあと、25日のトレイルブレイザーズ戦では8得点に終わった。

 30得点以上でも、25得点以上でも今季のルーキーたちはその次の試合で平均14~15得点のダウン。ブライアントが故障することなく出場していれば結果は違ったかもしれないが、八村もまたその“データ”の範囲内に収まった。それは裏を返せば、NBAのルーキーに対する圧力が尋常ではない証拠。ここに世界最高峰のリーグにおけるきびしい現実が見え隠れしている。(高柳 昌弥) 

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