謎だらけ…東京五輪マラソン&競歩、札幌開催 小池都知事「合意なき決定」

[ 2019年11月2日 05:30 ]

都内で行われた4者協議であいさつする東京都の小池百合子知事
Photo By 代表撮影

 東京都、国際オリンピック委員会(IOC)、東京五輪・パラリンピック組織委員会、政府の4者協議が1日、都内で開かれ、五輪のマラソン、競歩の開催地を札幌市に変更することで決定した。五輪のマラソンが開催都市以外で実施されるのは史上初。東京都の小池百合子知事が「合意なき決定だ」と不快感を示す中、肝心の費用負担の問題などは一切、決まっておらず“見切り発車”の決着となった。

 【IOC・東京都・組織委員会・政府 4者協議の一致事項】
(1)会場変更の権限はIOCにあること
(2)マラソン、競歩会場が札幌に変更した際に発生する新たな経費は東京都に負担させないこと
(3)既に東京都、組織委員会が支出したマラソン、競歩に関連する経費については、精査・検証の上、東京都において別の目的に活用できないものは、東京都に負担させないこと
(4)マラソン、競歩以外の競技について、今後、会場を変更しないこと

 東京五輪開幕まで9カ月を切った段階で決まった異例の開催地変更。東京開催を求め、徹底抗戦の構えを見せていた小池氏は「都として同意はできないが、IOCの決定を妨げることはしない。合意なき決定だ」と苦渋の表情で札幌移転を了承した。4者協議は、ほかにIOCのコーツ調整委員長、組織委の森喜朗会長、橋本聖子五輪相らが出席。森氏は、小池氏の決断を「大英断」と称え「心から敬意を表したい」と述べたが、小池氏が視線を合わせることはなかった。

 4者協議の冒頭では、コーツ氏が10月31日の実務者協議で合意に達した4事項=上記=を報告。この決定を受けて小池氏が札幌移転を受け入れた形だが、どの段階で合意に達したかは明かされなかった。

 問題は(2)(3)に関わる費用負担の部分が極めて不透明なことだ。組織委は札幌移転で生じる新たな費用の試算を急ぐが、その負担元についてコーツ氏は「組織委と札幌市、北海道庁と協議しないといけない」と、札幌市と北海道に求める可能性を示唆。だが、その一方で「不測の事態として検討します」と1000億~3000億円の予備費を充てるプランにも言及し、混乱に拍車をかけた。

 予備費は組織委、東京都、国が立てた五輪予算1兆3500億円とは別に、国や東京都などが予期せぬ事態が生じた場合に備えて計上しているもの。10月25日の小池氏との会談後、コーツ氏は予備費の持ち出しを念頭に「(使い切って)財務的なマイナスが出た場合には対応する」と赤字部分についてはIOCが負担する可能性に言及していた。ただ、最大3000億円にもなる予備費を使う事態になればIOCの負担が発生するわけがない。それに予備費を使った場合(2)の条項に反するため都の負担にもできない。いずれにしても五輪予算増でさらなる批判を受けることは必至だ。

 また、コーツ氏は「IOCが補償するのは東京が使ったもの」と話し、(3)の補てん費用はIOCが負担する姿勢も見せた。だが(3)については、都が約300億円を投じてコースに施した遮熱性舗装を「パラマラソンで使うということ」と補てんしない立場を強調。IOCがほかに何を対象に補てんする可能性があるのかが明確ではなく、組織委の担当者も「何も決まっていない」と頭を抱えた。

 発着点などコース設定は12月上旬のIOC理事会までに決定する予定だが、それ以外は白紙状態。日程や時間、チケットの払い戻しも不明なままだ。IOCの強権的かつ玉虫色な対応で、東京五輪への道はまだまだ問題が山積みとなっている。

 ≪森会長、小池氏と犬猿の仲≫小池氏と森氏は犬猿の仲。小池氏は00年代に自民党で森氏の派閥に所属したが、意に反して総裁選に出馬し関係性が悪化した。知事就任後もボート会場の変更などを巡り深い溝がある。橋本氏は森氏と同じ細田派。地元が北海道のため発言には慎重だ。森氏とバッハ会長は互いに「兄弟」と認め合うほどの蜜月関係。

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