ジョセフHC招いた平尾誠二さんの“先見の明”――世界と渡り合うために

[ 2019年10月21日 08:00 ]

ラグビーW杯準々決勝   日本3―26南アフリカ ( 2019年10月20日    味スタ )

平尾誠二さんは現日本代表の指導体制の生みの親だ
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 この日が命日にあたる元日本代表監督の故平尾誠二さんが、現日本代表の指導体制の生みの親だ。15年に日本ラグビー協会理事に就任した平尾さんの最後の大仕事が、エディー・ジョーンズ前HCの後任選びだった。

 日本協会の土田雅人理事は「平尾と何十時間もかけて議論して選んだ」と明かす。実は、候補リストの最上位は、トニー・ブラウン現アタックコーチ(44)だった。「日本人の器用さを知っている。体力勝負だけでは世界に勝てない」。戦術家として知られた同氏に、展開ラグビーで列強と渡り合える可能性を見いだしていた。

 一方で、性格的にトップに立つタイプではないことも熟知していた。そこで、ハイランダーズ(ニュージーランド)を率いて15年スーパーラグビーを制した、親分肌のジョセフHC、その下でコーチとして支えたブラウン氏の「Vコンビ」を呼ぶプランを描いた。

 平尾―土田の同学年コンビも、文字通りの二人三脚だった。全国大学選手権を3連覇した同大からの盟友。99年W杯の日本代表は平尾監督、土田コーチとして率いた。2人には信念があった。「外国人がパッと日本に来て指導するのは難しい。日本を知る人物を指導者にすべき、と平尾と話した」

 ジョセフHCは、平尾ジャパンの99年に日本代表としてW杯出場。ブラウン・コーチは三洋でプレーしていた。これ以上の適任者はいなかった。「日本人コーチも必要」という考えも一致し、長谷川慎スクラムコーチ(47)を強く推挙した。

 先見の明があった故人の命日が過ぎ、21日に土田理事は57歳を迎える。日本ラグビー界を選手、指導者、協会役員として引っ張った名コンビの夢は、元オールブラックスの2人に託され、自国開催のW杯で初の決勝トーナメント進出という形で花開いた。(倉世古 洋平)

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