柔道女子63キロ級 田代2年連続銀 “女帝”アグベニェヌに通算1勝10敗「超えなければいけない壁」

[ 2019年8月29日 05:30 ]

柔道世界選手権第4日 ( 2019年8月28日    日本武道館 )

女子63キロ級決勝、GSで技ありを受け優勝を逃す田代(上)(撮影・会津 智海)
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 女子63キロ級は田代未来(25=コマツ)が決勝でクラリス・アグベニェヌ(26=フランス)に敗れ、2年連続の銀メダルに終わった。16年リオデジャネイロ五輪準決勝でも敗れた天敵には、これで団体戦も含め通算1勝10敗。5度目の世界一挑戦はまたしてもあと一歩届かなかった。男子81キロ級は昨年銀メダルの藤原崇太郎(21=日体大)が初戦の2回戦でウズベキスタン選手に敗れた。

 畳にへたり込んだ2人はどちらともなく近寄り、抱き合いながら健闘を称え合った。11分11秒の死闘の果てに、勝者も敗者もない。だが、表彰台の高さとメダルの色はリアルだ。アグベニェヌは喜びの涙を流し、田代は悔し涙とともに言葉を発した。

 「アグベニェヌ選手の存在が自分を大きくしてくれていると思うが、超えなければいけない壁だと思う」

 通算11度目の対戦。相手の左釣り手を右の引き手で徹底的に制し、左右に動いて的を絞らせなかった。相手を指導2で追い込み、肩で息をし始めた延長7分すぎ、勝負手に出た。17年12月のワールドマスターズ準決勝で唯一勝利した時と同じ大内刈り。しかし不発に終わると、一瞬の間に釣り手を持たれ、払い巻き込みに屈した。

 田代は「試合全体を通して、入り込めば返されるのかなとか、どこかにあった。もっと投げにいく技を強化しないといけない」と言った。何度も敗れ、潜在意識まですり込まれた恐怖心。精神面を鍛え、以前は負けシーンが多かった夢の中での柔道も今は「勝てるようになった」。女子日本代表の増地克之監督も、「ベストな戦いだった」と評価したが、わずかに及ばなかった。

 大会で負けた時や厳しい稽古で心が折れそうな時、今でも見るのがリオ五輪準決勝で敗れた時の映像。「もう駄目になりそうになった時は見ています」と、カンフル剤にして成長してきた。背中は近いようで遠かったが、「雲の上の存在ではなくなった」とも言った。1勝10敗の借金9。全てを吹き飛ばす白星を、11カ月後の日本武道館でつかみ取る。

 ≪アグベニェヌ怪力V≫4度目の優勝を果たしたアグベニェヌは「激しい戦いで勝利できてうれしい」と感慨深げだった。左釣り手を殺され主導権を握れなかったが、一瞬の隙を突き、持ち前の怪力を発揮。昨年の決勝を上回る11分超えの死闘を「柔道キャリアで一番激しい戦いだった」と振り返り、「田代は戦うたびに強くなっているので、トレーニングを続けたい」と東京五輪での返り討ちを誓った。

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