FL/No・8姫野和樹に怪力伝説あり 中学時代に腕相撲で教師のひじを“破壊”

[ 2019年5月9日 09:00 ]

2月のラグビー日本代表合宿でリーチ・マイケル(右)のタックルを振り切る姫野
Photo By スポニチ

 ラグビー日本代表候補のフランカー/No・8姫野和樹(24=トヨタ自動車)には怪力伝説がある。中3時に腕相撲で教師の右ひじを“破壊”したのだ。教壇での対決。数秒の均衡状態の後に勝負を決めに行くと、2年生まで全く勝てなかった大人を戦闘不能に陥れた。

 「負けず嫌いなので、腕立て伏せとかしました。筋肉がすぐ付くタイプで、バーンと破壊しちゃった。教室にいたみんなが振り返るぐらい音がすごくて。先生の腕がぶらんぶらんで、やばかったです」

 空手経験者の社会科教師はじん帯を損傷しギプス生活。慣れない左手で黒板に向かう生活を余儀なくされた。

 怪力話はまだある。通った名古屋市立御田中の同級生には、現豊田自動織機のフランカー磯辺裕太がいた。練習で吹っ飛ばし、大けがを負わせたのだ。

 ラグビー部顧問の松浦要司さん(41=現志段味中)は、あきれるように振り返った。

 「タックルに来た磯辺に、姫野がハンドオフ(球を持っていない腕で相手を突き放すプレー)をしたんです。はじかれた磯辺は地面に手をついて…。右ひじの脱臼骨折でした」

 中1でラグビーを始めた少年は、2年時には身長が1メートル80近くなっていた。「その頃には1対1をしても、教師の僕ですらしがみつくことすらできなかった」。中学生が相手だとケガをさせてしまう。教え子に課したのは「本気禁止」。それでも、恐れていたことが起きてしまった。体に宿る力は規格外だった。

 春日丘(現中部大春日丘)、帝京大を経てトヨタ自動車へ。パワーに磨きがかかり、1メートル87、108キロのFWは、日本代表に欠かせぬ戦力になった。タックルをされても、再び起き上がって突進するピックアンドゴーが持ち味。昨年11月のニュージーランド戦とイングランド戦でも、攻守で体の強さを発揮した。

 社会人1年目でトヨタの主将を任された人間性でも注目される。しかし、松浦さんは「問題児でしたよ」と愛情を込めて振り返った。けんかっ早く、食ってかかられることはしばしば。グラウンド内外で手を焼いたという。ぶつけ場所に困ったパワーと、周囲を困らせた負けん気の強さは今、日本の支えになっている。(倉世古 洋平)

続きを表示

この記事のフォト

2019年5月9日のニュース