NHLフライヤーズがスミスさんの像を撤去 「ゴッド・ブレス・アメリカ」の歌手をめぐる騒動が拡大

[ 2019年4月22日 13:28 ]

NHLフライヤーズが撤去したケイト・スミスさんの像(AP)
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 北米アイスホッケーリーグ(NHL)のフライヤーズは21日、フィラデルフィアの本拠地「ウェルズ・ファーゴ・センター」の外に設置してあった歌手、ケイト・スミスさんの像を撤去した。

 スミスさんを巡っては代表曲の「ゴッド・ブレス・アメリカ」を巡って波紋が広がっており、大リーグのヤンキースは2001年以降の試合で球場内で流していたスミスさんによる同曲の使用を暫定的に取りやめていた。

 米国への愛国心を歌うこの曲は1918年にアービング・バーリンが作詞・作曲し、1938年にスミスさんがラジオ放送で歌って人気を呼んだ楽曲。大リーグでは同時多発テロ以降、7回のイニングの合間にこの曲をかけていた。

 ヤンキースではスミスさんのオリジナルを使用していたが、1939年にスミスさんがブロードウェイのミュージカルで使われた「THAT’S WHY DARKIES BORN」という曲をレコーディングしていたことが問題視されるようになり方針を転換。「DARKIE」は黒人を蔑視する言葉で、ヤンキース側は「我々は人種的で文化的な感受性を重要する」として、スミスさんによる同曲を使用しない決断を下した。

 フライヤーズは1969年、国歌に代わってスミスさんの「ゴッド・ブレス・アメリカ」を試合前にかけるようになり、70年代にはスミスさん自身が何度もアリーナで斉唱。スミスさんが79歳で亡くなった1年後の1986年に記念の像を設置していたが、同チームのポール・ホルムグレン社長は「ホッケーはすべての人のもの。現状を無視することはできない」としてスミスさんの像全体にシートをかけていた。

 なおフライヤーズは今季37勝45敗(延長敗戦8)で勝ち点は86。東地区全体11位でプレーオフには進出できなかった。

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