16場所ぶりの幕内返り咲き!35歳の豊ノ島を支えた夫人との約束と大きな目標

[ 2019年2月27日 10:00 ]

16場所ぶりに幕内復帰の豊ノ島
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 35歳のベテランが幕内の土俵に戻ってくる。大相撲春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付で、西十両5枚目だった初場所で10勝5敗だった豊ノ島(時津風部屋)は西前頭14枚目に上がった。2016年名古屋場所の直前の稽古で左アキレス腱を断裂し、それ以来となる16場所ぶりの幕内返り咲き。「やっぱりうれしい。本当によく戻れたと思った」と感慨に浸った。

 関脇経験者が幕下まで落ちてから再入幕を果たしたのは、昭和以降では琴風、鳳凰に続き3人目。琴風は左膝内側側副じん帯断裂で幕下まで番付を下げたが、この時はまだ22歳。回り道はしたものの、復活後は順調に番付を上げて大関に昇進した。鳳凰が31歳での再入幕までに幕下で取ったのは4場所。幕下を丸二年も経験した35歳の豊ノ島は、最高のカムバックとも言える。

 幕下では2度の肉離れに見舞われ、昨年春場所は西35枚目まで落ちた。明るい性格の男も「もう駄目だと思った」と気力が萎えかけた。そこで勇気を与えてくれたのが沙帆(すなほ)夫人だった。「嫁は本気で“絶対に戻れるから”と言い続けてきた」。背中を押され、一度は下げた視線を前方に向けた。「ケガをしないで負け越したら引退する」と約束を交わして土俵に上がると、そこから6場所連続勝ち越しで幕内までたどり着いた。

 「一人だったら引退していた」。もちろん、受け身の強さだけで取っていたのから前に出る相撲に変えたことも復活の一因だが、モチベーションを上げてくれる人がそばにいるということは、この上ないパワーになった。

 もう一つの目標も実現に近づいてきた。中学時代からのライバルで、02年初場所初土俵の同期の琴奨菊との対戦だ。「琴奨菊も“戻ってきてくれるのを信じている”という記事を見たことがあったが、その時は幕下に落ちてきてくれないかなと思っていた」と笑いながら振り返るが、春場所はライバルの番付が西前頭8枚目だけに、成績次第では顔を合わせる可能性がある。前回対戦は3年前の16年春場所。豊ノ島が関脇で、琴奨菊は大関だった。ともに平幕での取組となれば09年夏場所以来、約10年ぶりとなる。

 「当たらないとしたら番付を上げていけばいい。横綱と対戦したいところまで戻っていきたいというのもある」。さらに「幕内に上がったからには優勝を狙いたい」と言い切る。角界には世代交代の波が押し寄せているが、苦難を乗り越えてきたベテランの挑戦は易々とは終わらない。 (記者コラム・佐藤 博之)

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2019年2月27日のニュース