大坂 バイン・コーチとの契約解消、全豪制覇から2週間

[ 2019年2月13日 05:30 ]

契約解消することになったバイン・コーチと大坂
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 テニスの全豪オープン女子シングルスで昨年の全米オープンに続き4大大会2連勝の偉業を果たした世界ランキング1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、昨季から指導を受けてきたサーシャ・バイン・コーチ(34)と契約を解消した。11日(日本時間12日)に自身のツイッターで電撃発表。大坂は背中の痛みで今週のカタール・オープンを欠場し、17日開幕のドバイ選手権はバイン・コーチ不在で臨む。

 世界1位に君臨する21歳が、バイン氏との契約を電撃解消した。大坂が自身のツイッターで「これからはサーシャとは一緒に仕事をしない。彼には感謝しているし、今後の成功を祈っている」とつづると、同氏も「ありがとう、なおみ。何て素晴らしい旅路だったんだ」と記した。

 17年12月からタッグを組んだバイン氏は元世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズ(米国)らの練習相手を務めた実績があり、「全ては心から始まり、体はそれについてくる」という考えを持つ。対話を重視した教えで、大坂も「とてもポジティブで楽しい方。それが自分にもいい影響を与えている」と話していた。

 バイン氏の指導の下、1メートル80で桁外れのパワーを誇る日本女子のエースは「我慢」を覚え、ラリー戦で強引に決めにいくショットは激減。昨年の全米オープン決勝で憧れのS・ウィリアムズと辛抱強く打ち合ってタイトルを獲ると、同コーチは女子ツアーを統括するWTAの18年最優秀コーチ賞に輝いた。大坂の世界ランキングは17年末の68位から今年1月の全豪オープン優勝後には1位まで上昇。関係者によると今回の契約解消は、大坂サイドからの申し入れという。バイン氏がトップ選手を指導した経験がなく、昨年から既にコーチ交代を検討。4大大会連勝となった1月の全豪オープンでは練習中にバイン氏のアドバイスを無視するシーンもあった。

 バイン氏は「チームなおみ」から離れるが、フィジカル担当のアブドゥル・シラー氏らは留任。全豪後の初戦となるドバイ選手権(17日開幕)はコーチ不在で臨む。大坂はネットプレーなどに課題を残し、関係者によると「次のステージとして、このNo・1のレベルで戦術、技術をきっちりコーチできる人」を探すという。

 5月には全仏が控える。4大大会完全制覇の生涯グランドスラムについて「できるならやりたい」とする一方で、「それは一つのプロセス」と言う21歳は、20年に東京五輪も含めた年間ゴールデンスラムも視野に入れる。壮大な野望に向かって、新たな旅路が始まった。

 ◆大坂 なおみ(おおさか・なおみ)1997年(平9)10月16日生まれ、大阪市出身の21歳。ハイチ出身の父レオナルド・フランソワさんの指導で3歳の時にテニスを始め、米ニューヨークへ移住。13年に15歳でプロに転向し、16年に日本人初のWTA最優秀新人賞を受賞。18年3月のBNPパリバ・オープンでツアー初優勝。同年9月の全米オープンで4大大会初優勝を飾り、今年1月の全豪オープンも制して世界ランク1位となった。1メートル80、69キロ。利き手は右。

 ◆サーシャ・バイン 本名アレクサンダー・バイン。1984年10月4日生まれ、ドイツ・ミュンヘン出身の34歳。セルビア系ドイツ人。3歳でテニスを始め、05〜08年にツアー出場。世界ランク最高は1149位。07〜15年にセリーナ・ウィリアムズ(米国)のヒッティングパートナーを務め、その後はビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、キャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)らの練習を支えた。18年にWTA最優秀コーチ賞を受賞。

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