錦織 4年ぶりフェデラー討ち!白星発進で2310万円ゲット

[ 2018年11月13日 05:30 ]

男子テニス 日東電工ATPファイナル第1日 ( 2018年11月11日    ロンドン )

ATPファイナル フェデラーに快勝し、声援に応える錦織(AP)
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 シングルスの1次リーグB組で世界ランキング9位の錦織圭(28=日清食品)が、同3位のロジャー・フェデラー(37=スイス)から4年ぶりの白星を挙げた。4大大会史上最多の20勝を誇るフェデラーには6連敗中だったが7―6、6―3でストレート勝ち。賞金約2310万円を手にし、各組上位2人による準決勝進出に向けて幸先の良いスタートを切った。13日(日本時間同日午後11時以降)の1次リーグ第2戦では、世界6位のケビン・アンダーソン(32=南アフリカ)と対戦する。

 テニス選手は負けたら終わりのトーナメントが当たり前。総当たり形式で行われるツアーは今大会しかない。普段なら初戦でトップ10同士の対戦もあり得ない。ましてやフェデラーと対戦することも。「両方とも、特に第1セットはあまりよくなかった」と錦織が振り返ったのは、そうした影響があったのかもしれない。

 だが互いにエンジンが温まっていないからこそ、錦織は勝利への気持ちを強くした。「彼もベストではなかった。だから特に勝たないといけない試合だった」。先月の2敗を含めてフェデラーには6連敗中。「自分のアイドル」と尊敬するが、立ちはだかるライバルでもある。「テニスが誰よりも見ていて面白い。それは今でも変わらないが、自分の中で勝てない相手とは思っていない」。本調子でないフェデラーなら、それは「勝たないといけない相手」でもあった。

 第1セット、相手に傾きそうな流れはスーパーショットで食い止めた。5―6でのサービスゲーム。第2サーブを回り込んだフォアで叩かれたが、体を目いっぱいに伸ばして反応。ラケットさばきだけで返し、ネットをかすめ、ラインぎりぎりに沈めた。

 フェデラーの天才的な球さばきにも負けず劣らずの一打でピンチを脱すると、タイブレークは0―1から6連続得点で逆転。第2セットの第1ゲームをブレークされてつまずきかけたが、直後にブレークバックして息を吹き返した。

 開幕前々日にはウエストミンスター宮殿で大々的なレセプションパーティーがあった。会場までは貸し切りの地下鉄で出場選手8人で移動。「フェデラーは地下鉄に乗るのは15年ぶりだと言っていた」。新聞を読んだり、ティエムのカメラに舌を出しておどけたり、錦織のカメラでみんなと自撮りしたりと普段と違う貴重な時間を満喫した。

 特別な大会での特別な相手からの勝利。「内容は正直そんなに良くなかったが、1試合目に勝てたことは自信になる」。負けても続く総当たり戦とはいえ、勝つ方がいいのは普段と同じ。価値ある白星発進だった。

 【ファイナル・メモ】

 ☆歴史 1970年の第1回は「ペプシコーラ・マスターズ」の名称で東京体育館で行われた。6選手が参加し、スタン・スミス(米国)が初代王者。

 ☆高額賞金 賞金総額850万ドル(約9億6900万円)。1次リーグは1勝ごとに20万3000ドル(約2310万円)、4大大会16強を上回る200点を獲得。補欠待機でも11万ドル(約1250万円)支給。

 ☆大統領気分 宿泊はロンドン市内の超高級ホテル。会場の行き来にはテムズ川を走る専用フェリーも利用できる。4大大会を上回る“おもてなし”で、錦織は初出場した14年に「大統領気分」とご満悦だった。

 ☆100万円VIPルーム 昼の部と夜の部に分かれ、観客は入れ替え制。1枚のチケットで見られるのはシングルスとダブルスの2試合のみ。VIPルームの使用料は1部屋100万円以上する。昨年は8日間で大会記録となる25万3642人が来場。

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