24年パリ五輪採用!?期待大きいeスポーツ アジア大会で26日開始

[ 2018年8月26日 09:00 ]

記者会見でポーズをとる(左から)日本eスポーツ連合の岡村秀樹会長と日本代表の杉村直紀、相原翼、赤坂哲郎の各選手
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 インドネシアで開催中のアジア大会で、コンピューターゲームを競技とした「eスポーツ」がきょう26日から始まる。公開競技として6種目が行われ、日本はサッカーゲーム「ウイニングイレブン」とカードバトルゲーム「ハースストーン」の2種目に3選手が出場。eスポーツは日本での認知度は低いが、世界では高額賞金の大会が開催されるなど「スポーツ」として浸透し始めている。24年パリ五輪での正式競技入りの動きもある。

 アジア最大のスポーツの祭典に、ゲームがデビューする。eスポーツの「e」は、electronic(電子の)の略。スクリーンを見つめ、基本的に動かずにプレーするコンピューターゲームはスポーツのイメージからはほど遠いが、正確な操作や判断を必要とし高度な戦略性も併せ持つことから、海外ではスポーツ競技の一つとして認識が広まっている。欧米では1990年代から盛り上がりを見せており、賞金総額10億円を超える大会も開催されている。プロ選手も存在し、企業がプロチームをサポートする例もある。

 競技種目は全世界でソフトやオンラインで流通しているゲーム。最も人気のあるゲームの一つ「ハースストーン」では、各地で大会を開き、累計ポイントで年間王者を決める世界選手権ツアーが開催されている。オンライン形式で勝ち上がった上位選手が、世界各国で開かれる「決勝大会」に進出。旅費や滞在費は主催者が負担し、ハリウッドセレブ並みの待遇を受ける有名プレーヤーもいる。

 eスポーツの競技人口は世界で約1億人。バスケットボール、サッカーなど人気スポーツに続いて競技人口5位というデータもある。2017年の市場規模は約7億ドル(約780億円)、20年には約15億ドル(約1670億円)に達するとの試算も。24年のパリ夏季五輪で公式競技への採用も取り沙汰されている。今アジア大会では公開競技だが、22年の中国・杭州大会では正式競技となることが決定している。

 アジアでは中国と韓国の2強状態。“ゲーム先進国”のイメージがある日本は、eスポーツの主流であるオンラインゲームの普及が遅れたこともあり、立ち遅れているのが現状だ。来年の茨城国体では文化プログラムとしての開催が決定。関係者は、国内での裾野の広がりに期待している。

 今大会では、きょう26日の「アリーナ・オブ・ヴァラー」を皮切りに6種目を開催。日本選手は31日に「ハースストーン」に赤坂哲郎(23)、9月1日の「ウイニングイレブン」に杉村直紀(21)と相原翼(18)が出場する。

 3選手は9日に開かれた壮行会で、「日本eスポーツ連合(JeSU)」公式スポンサー6社のロゴ入りユニホーム姿で登場した。サントリー、ローソン、KDDI(au)と大企業がずらり。eスポーツと日本選手への期待の大きさがうかがえた。

 ≪現役高校生の相原「優勝したい」≫赤坂が出場する「ハースストーン」は、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界を舞台に1対1で戦うカードゲーム。数百人が参加した予選を勝ち抜いた8人が、アジアの頂点を目指す。1000種類以上のカードから30枚を組み合わせて戦う。判断力と直感、運が必要となる。

 杉村と相原が出場する「ウイニングイレブン」は日本のコナミ製のサッカーゲーム。バルセロナなど実在する9つのクラブチームから好きなチームを選んでプレー。実在選手も登場。代表選手は各国2人で10分のゲームを3試合(1対1、2対2、1対1)行い、先に2勝した国が勝ちとなる。参加8カ国を2つに分けてリーグ戦を行い、上位2国が決勝トーナメントに進む。

 ≪プロ公認は115人と8団体≫ 国内では今年1月22日、統括団体「日本eスポーツ連合(JeSU)」が設立された。それまでは日本eスポーツ協会、日本eスポーツ連盟、eスポーツ促進機構という3つの団体がそれぞれ独自に活動していた。将来的に五輪競技となった場合、競技団体の乱立は選手派遣の障壁となることから、いち早く統一に着手。今後は国内唯一の統括団体として、大会開催や選手育成にも注力していくという。JeSUでは現在、115人と8団体をプロとして公認している。

 ≪スポーツか?疑問を持つ人も…≫今年7月には国際オリンピック委員会(IOC)がスイス・ローザンヌで、eスポーツをテーマとしたフォーラムを開催。統括団体「日本eスポーツ連合(JeSU)」の関係者も出席し、競技団体、各国オリンピック委員会やゲーム業界の関係者とともに意見交換をし五輪正式競技への道を模索した。一方で、日本国内はもちろん、海外でも「eスポーツはスポーツなのか」という根本的な疑問を持つ人は少なくない。JeSUの岡村秀樹会長は「eスポーツはさまざまなゲームタイトル(種目)を総称したものだが、それが競技性を持ったときに、一つのスポーツと呼べるのでは。理解をしていただく努力をしていく」と話している。

 ▽ウイニングイレブン 日本ではウイイレの略称で人気のサッカーゲームで、6タイトルで唯一、日本の会社(コナミ)が制作している。今大会や海外での名称は「プロ・エボリューション・サッカー」。

 ▽ハースストーン トレーディングカードゲームと呼ばれるカテゴリー。9人のヒーローから1人を選択し、交互にカードを出し合いながら、相手の体力を0にした方が勝利。単純ながら戦略性が求められる。

 ▽クラッシュ・ロワイヤル バトルゲームやカードゲーム、タワーディフェンスの要素を複合させたストラテジーゲームで全世界的な人気を誇る。3分間で相手よりも多くのタワーを破壊した側が勝利となる。

 ▽アリーナ・オブ・ヴァラー 2チームが5人同士で行う対戦型ゲーム。元々はオンラインゲームとしてアジアで人気。各プレーヤーがさまざまな能力を持ったキャラクターを選択し、相手チームの本拠地の破壊を目指す。

 ▽リーグ・オブ・レジェンド 複数対戦ゲームで、チャンピオンと呼ばれるキャラクターを選択し互いの本拠地の破壊を目指す。eスポーツの種目の中でも世界的に人気があり、各地で高額の賞金大会が行われている。

 ▽スタークラフト2 宇宙戦争をテーマとした対戦型ゲーム。異なる能力を持つ3つの種族を駆使し、施設の建設や対戦を繰り返して勢力争いを行う。制作会社は米国だが、韓国で絶大な人気を誇るタイトル。

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