井上 男子マラソン32年ぶり金!灼熱レースも対策バッチリ

[ 2018年8月26日 05:30 ]

ジャカルタ・アジア大会第8日 ( 2018年8月25日 )

金メダルを獲得し、国旗を手に笑顔の井上大仁(撮影・木村 揚輔)
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 男子マラソンは日本歴代4位の2時間6分54秒の記録を持つ井上大仁(25=MHPS)が、2時間18分22秒で優勝した。日本勢としては1986年ソウル大会の中山竹通以来、32年ぶりの金メダルを獲得。井上はマラソン5戦目で自身初のタイトルとなった。園田隼(29=黒崎播磨)は2時間19分4秒で4位だった。

 赤道直下の灼熱(しゃくねつ)レースで、普段はクールな男が感情を爆発させた。井上はトラックの最後の直線でエルアバシ(バーレーン)を振り切った。記録上は同タイムながら、参考として表示された詳細な差は0秒302の大接戦だった。

 「スパート勝負になれば勝つ自信はあった。最後はないところから力を引きずり出すしかなかった。勝たないといけない試合だったので振り絞れた」

 超スローペースで進んだレースは37キロすぎから井上とエルアバシの一騎打ちに。だが、いくら仕掛けても離れない。混戦のままトラック勝負までもつれ込んだが、14年仁川大会1万メートルで大迫傑に競り勝ったバーレーンのスピードスターを猛烈スパートの末に下した。

 東京五輪を見据えた暑さ対策も万全だった。10キロ以降の給水所には、無印良品で買った入れ物に冷水、スペシャルドリンク、保冷剤を詰めたお手製の「冷却セット」を用意。ウエアに穴を開けて風通しも良くした。さらに30キロからは5キロごとに帽子も用意し、強い日差しにも対応した。「後半はじわじわ疲れて、ずっしり落ちてきた」というが予行演習としては上出来だ。「100%の準備で勝ちパターンをつくれた。一つ引き出しができたのはプラスになった」と自信を見せた。

 ゴール時の気温は30度。来年9月の東京五輪代表選考会へ向けて、真夏のレースへの適性は示した。ただ「ちゃんとしたレースをもう一回くらいしたい」と黒木純監督。出場する試合は明言していないが、来年3月の東京マラソンが有力だ。同大会は大迫がすでに参戦を表明。日本記録保持者の設楽悠太も出場意欲を示している。「負けたくないんですよね、記録も勝負も」。いま一番ホットなアジア王者が2強に割って入る。

 ◆井上 大仁(いのうえ・ひろと)1993年(平5)1月6日生まれ、長崎県諫早市出身の25歳。中学時代から陸上競技を始め、長崎・鎮西学院高から山梨学院大に進学。1年時から主力として箱根駅伝に出場した。卒業後は同大OBの黒木純氏が監督を務めるMHPSに所属。17年ロンドン世界選手権では26位。18年東京マラソンでは日本歴代4位となる2時間6分54秒をマークした。趣味は折り紙。1メートル65、51キロ。

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