“はまる”と地獄…日大アメフット部 浮かび上がった異様な実情 理不尽でも「はい」が当然の掟

[ 2018年5月30日 05:55 ]

会見中に打ち合わせをする関東学連の(右から)柿沢理事長、寺田監事、森本専務理事(撮影・小海途 良幹)
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 関東学生連盟の規律委員会が認定した事実の中で、日大アメリカンフットボール部の異様な内情が明かされた。

 関東学生連盟・森本啓司専務理事(以下、森本)「17年の内田前監督の再登板で、コーチの厳しさや態度も変わった。皆が恐れていた。内田前監督の気に障ることがあると選手、コーチは突然やめさせられることがある。指導に従わないのはありえない。どんな理不尽でも“はい”と言って実行するのが当然の掟(おきて)だった。それに嫌気がさして、17年の春には20人が去って行った」

 内田前監督の行き過ぎた指導法には、ある呼び方があった。

 森本「内田前監督の復帰以降、選手は常に肉体的、精神的に追い込まれていた。内田前監督は有望な選手を精神的に追い込んで頑張らせ、もう一歩上に向上させるという指導スタイル。活躍しそうな選手を全員の前で名指しで酷評し、結果を出さなければ“干すぞ”と圧力をかけ、ひたすら厳しい練習を課した。これが対象者を代えて何度も繰り返された。選手たちの間では運悪く、この対象者となってしまうことを“はまる”と呼んでいた」

 スポーツの楽しさがあるはずのグラウンドは、“はまる”と一変する。

 森本「はまった時に受ける精神的重圧は相当なものであり、経験した者たちは異口同音に“もうやめようかと思った”“地獄だった”と証言した。18年春のはまった選手に選ばれたのが当該選手(宮川選手)。はまってしまった当該選手はレギュラー陣から外され、ただグラウンドを走らされ、声を出さされたりした。練習終了後のハドルで全員の前で名指しで叱責(しっせき)され、チームメートの目から見てもつらそうな日々が続いた」

 宮川選手の高校時代の監督だった井上前コーチも、内田前監督に同調した。

 森本「井上前コーチもはまってしまった当該選手を内田前監督のいじめから守ろうとはせず、むしろそれに輪を掛け、当該選手をより厳しく指導するようになった。こうした精神的重圧から、当該選手は顔つきまで変わってしまった。チーム内では“あれはちょっとやり過ぎではないか”という声もあったそうだが、内田前監督や井上前コーチにそんなことを言えるはずがなかった」

 顔つきが変わるほどに追い込まれた宮川選手は、極限の精神状態で6日の関学大との試合を迎え、無防備な関学大QBの背後から突進した。

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2018年5月30日のニュース