弁明は「虚偽」…内田前監督を断罪「指導者失格」、井上前コーチとともに永久追放

[ 2018年5月30日 05:30 ]

会見中に打ち合わせをする関東学連の(右から)柿沢理事長、寺田監事、森本専務理事(撮影・小海途 良幹)
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 日大アメリカンフットボール部の守備選手による悪質な反則問題で、関東学生連盟が29日、臨時理事会を開き、内田正人前監督(62)と井上奨前コーチ(30)を永久追放に相当する「除名」処分とすることを発表した。守備を統括する立場だった森琢ヘッドコーチは除名に次いで重い「資格剥奪」、危険なタックルをした宮川泰介選手(20)とチームに対しては条件付きで今季の公式試合の出場資格停止処分を科すことを決めた。

 日大の指導者2人に厳罰が下された。規律委員会は日大や関学大の関係者ら約20人からヒアリングを実施し、問題を検証。今回は内田前監督ら指導陣から選手への反則指示の有無が焦点だったが、理事会後の会見で関東学連の森本啓司専務理事(48)は「(指示があったか?)その通りです」と断言した。

 宮川選手は22日の記者会見で、指導者の指示に従って悪質なプレーをしたと説明したが、指導陣は反則指示を一貫して否定。日大側は「指導者による指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていた」と主張していた。乖離があるとされたのは「QBをつぶせ」という指示。規律委は井上前コーチが「関学のQBは友人か」「秋の試合でQBがケガをしていれば得だろう」と事前に宮川選手に語っていたことを問題視した。森本専務理事は「思い切りプレーしろ、のみならず、友人にはとてもできないことをしてこい、ケガをさせてしまえという意図が込められていた」との認識を示し、「どちらが正しいかは火を見るより明らか」「認識の乖離は存在しない」と結論づけた。

 そして、内田前監督が規律委員会の調査に対し、インカム(ヘッドホン)を落として反則プレーを見ていなかったとする主張についても、落としたとするインカムを拾う行為が映像で認められなかったため「ボールではなく、動きを追っていたことが映像で確認できた。当該選手の最初の反則行為を見ていなかったとする内田氏の供述は虚偽」と認定。「反則を容認していた」と結論づけた。「内田氏の発言は自身の関与に関するものについては、おおよそ全てに信用性がないと規律委員会は判断します」と断罪。寺田昌弘監事は「相手をケガさせるようなプレーの指示は許されることじゃない。指導者失格です」と厳罰に至った理由を説明した。今回の処分決議については出席した22人の理事のうち16人が賛成、4人が反対、2人が棄権したという。

 これまでの主張がことごとく退けられたことで、日大側の信用は完全に失墜した。一発の反則タックルの衝撃が、アメフット部を超えて日大の屋台骨を揺るがせている。

 ▽関東学生アメリカンフットボール連盟 関東地区の大学アメリカンフットボール部を統括し、関東大学リーグを主催している。1部リーグは16チームで、日大、早大、法大、中大などが上位の「TOP8(トップエイト)」、横浜国大、桜美林大、国士舘大、東大などが下位の「BIG8(ビッグエイト)」に所属する。TOP8の優勝校が全日本大学選手権(甲子園ボウル)の関東代表となる。他地区の学生連盟同様、日本アメリカンフットボール連盟に加盟しており、柿沢理事長を含め理事23人で運営されている。

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2018年5月30日のニュース